2015年12月11日 | カテゴリー:スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。
タグ: プログレ
こんにちは、カケレコ・スタッフの佐藤です。
12月も中旬に入り、徐々に年の瀬も近づく今日このごろ、今年は暖冬とは言われていますが、ここ寄居も寒さが身にこたえるようになってきました。
さて今回からスタートする本コーナー「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。
第一回で取り上げたいのが、英国プログレ界屈指の技巧派集団ジェントル・ジャイアントによる71年発表の2ndアルバム「アクワイアリング・ザ・テイスト」です。
ジェントル・ジャイアント。それは所謂5大プログレ・バンドによってプログレッシヴ・ロックというものを知った私を、プログレ迷宮のさらに奥深くへといざなったバンドだと言っていいでしょう。
GGを初めて聴いた時の衝撃は今もって忘れられません。あまりの技巧と奇怪なリズムセンスと渦巻くコーラスに「何が起こっているのかわからない」というのが正直な感想で、生まれて初めて連続3回通しで聴いたのが彼らの作品でした。
5大バンドの有名作をひとしきり聴いて「プログレも大体わかってきたな、俺」などと謎の自信をみなぎらせつつあった高校生の浅ーいプログレ観は、ものの見事に打ち砕かれたのでした。
もし5大バンドまでで止まっていたらここまでプログレにも入れ込まず、それこそこうしてカケレコのスタッフとして記事を書いてはいなかったかも、と考えると、スタッフ佐藤にとってある意味人生すら左右したバンドだと言っても過言ではありません。
さて、そんなGGの一般的な評価を考えると、初期の代表作とされる72年発表の4th「オクトパス」に始まり、75年作7th「フリーハンド」や次作「インタビュー」あたりまでが傑作揃いで全盛期とみなされているかと思います。
たしかにリズムを強く打ち出した躍動感のあるサウンドにGGらしい多彩なアイディアが踊る中期の作風は大変魅力的ですし、実際私も大好きなのですが、70年代初頭というプログレッシヴ・ロック・シーンが成熟していく時期にリリースされた彼らの最初期の作品には、商業的側面を度外視した純粋な音楽的探求の結果としての、初期GGならではの輝きが宿っているように感じられます。
そんな彼らの初期作品の中でも特にスタッフ佐藤が愛して止まないのが、これぞプログレッシヴ・ロック!という「変態性」と「美しさ」が共存する2ndです。
まずはその変テコ度数の高さ。一体何拍子なのかにわかには判別できない特異なリズム、イタリア発祥の声楽マドリガルからの影響を感じさせる複雑かつ美麗なコーラスワーク、そして多彩な管楽器・弦楽器を交え各楽器が入り乱れるめまぐるしい楽曲展開。唯一無二の音楽性は2作目にして完成の域に達しているから驚きです。人を喰ったようなジャケットからも、只者ではない感が伝わってくるようですね。
そんな変態性を覆うのが英国の薄暗い森にかかった霧を想わせる幻想性で、多彩なアイデアが詰まった楽曲が神秘的な美しさを纏うことにより、どこかミステリアスな魅力が滲み出したような逸品に仕上がっています。
本作ならではと言えるそのあたりの魅力がばっちり堪能できるのがこの3曲!
雲間を漂うかのような独特の浮遊感とピリッと荘厳な中世音楽的要素を共存させた、めくるめくGGワールドへの入り口にぴったりなオープニングナンバー。そこへ武骨に押し込んでくるギターとの硬軟の対比が鮮やかに決まっています。このうっすらと広がるダークな幻想性は本作ならではの魅力と言えるのではないでしょうか。いやはや一曲目から怒涛の名曲ですね~!
地を這うように怪しげなリフをなぞってデレク・シャルマンが気骨みなぎるパワフルなヴォーカルを披露する歌パートと、各種管弦楽器の音を細かくつなげたあまりに緻密に超絶インストゥルメンタルパートを一つにした実にGGらしいナンバー。ハードロック的な豪快さとアーティスティックな職人的繊細さをこの振り幅で表現できる高度な音楽性もさることながら、一曲の中にその両方を放り込んでしまうセンスは脱帽ですよね。この時代の彼らの持ち味が凝縮されたようなナンバー!
本作のハイライトと言いたい幻想的な名曲。初期クリムゾンの薄暗い叙情性と初期ジェネシスの寓話的な世界観を合わせたような前半から、流れるようにホーンが駆け抜けるブラス・ロック的な展開を経て、淡いトーンのキーボードをフィーチャーしたカンタベリー・タッチの軽やかな演奏へ。メインテーマへと回帰して少しミステリアスなキーボードの音色を残して締め、という持ち前の変幻自在さをフル発揮した一曲。英国的な気品が匂い立ってくるような美しすぎる一曲です。
というわけでお送りしてきた「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」、いかがだったでしょうか。
今後もなかなかスポットライトが当たらない作品を取り上げ、改めてその魅力の一端を伝えていけたらと思います!
「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」他の記事はコチラ!
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Gentle Giant』は1970年の記念すべきデビュー・アルバムであり、比較的とっつきやすい作品とされていますが、それはあくまで彼らのディスコグラフィーの中ではの話。デビュー・アルバムにしてすでに、後の彼らの個性となっていくポップなメロディーと複雑怪奇な楽曲構成は顔をのぞかせており、一度聴けばその完成度の高さに舌を巻くことでしょう。タフなリズム・セクションが跳躍するヘヴィー・プログレから、ヴァイオリンやチェロを迎え室内楽的に聴かせる牧歌的な楽曲まで様々なスタイルの音楽性を披露。マニアックな仕掛け、そしてそれに反するポップな全体像というミスマッチな個性は次作以降、より強固なものとなっていきます。プログレッシヴ・ロック前夜のサウンド・アイディアを放り込み独自の音楽性を提示した傑作です。
廃盤、紙ジャケット仕様、SHM-CD、デジタル・リマスター、レーベルカード・内袋付仕様、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Acquiring The Taste』は1971年のセカンド・アルバムであり、聴き手を選ぶツウ好みの内容ながら、彼らの溢れんばかりの音楽的探究心が結実したという意味ではやはり傑作。GENTLE GIANTといえば、メンバーたちのマルチ・プレイヤーぶりがしばしば話題となりますが、その印象は本作を発端としているのでしょう。おびただしい数の楽器がクレジットされており、その様はまるで劇薬を生み出さんとするマッド・サイエンティストの実験室のようです。一聴して耳に残るような派手さにこそ乏しい印象を持つものの、プログレッシヴ・ロックの特徴のひとつである緻密なバンド・アンサンブルの始祖的な位置にある作品であり、噛めば噛むほど味が出る、聴くたびに新たな発見のある名盤です。
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、ルネサンスの様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Three Friends』は1972年のサード・アルバムであり、ドラマーのMartin Smithがメンバー間の確執により脱退、後任ドラマーにMalcolm Mortimoreが迎えられ制作されました。その内容は、GENTLE GIANTにとって初のコンセプト・アルバム。タイトルの通り「幼馴染の3人が資本家、芸術家、労働者になり、それぞれ別々の人生を歩んでいく」というストーリーに基づきアルバムが進行していきます。GENTLE GIANTのひねりの効いた音楽性は本作でも健在であり、幼い頃を回想する懐かしくも寂しいようなテーマと絶妙にマッチング。グループは本作でアメリカ・デビューを果たし、ビルボード・チャート入りを経験しました。また、本作を最後にドラマーMalcolm Mortimoreは脱退し、グループは新たなドラマーJohn Weathersを迎えることになります。
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。前作『Octopus』をリリース後に三兄弟のPhil Shulmanが脱退するアクシデントに見舞われたグループでしたが、そのピンチを乗り越え発表された本作でも彼らの生み出すサウンドに一切ブレはありません。1973年の5thアルバム『In A Glass House』は、「ガラスの家に住む者は石を投げてはならない」という格言(自分自身も完璧ではないのだから他人のことを批判してはならない、という意味)から生まれたタイトルであり、その名の通り、ガラスが割れる音色を切り貼りしたリズムから始まります。4thアルバム『Octopus』時に、ドラマーがMalcolm MortimoreからJohn Weathersに交代した好影響は本作にも表れており、バラエティー豊かなリズムの存在によって彼らの技巧色が際立つ作風となっています。その一方で、リコーダーによる古楽的なアプローチなど、クラシカルな聴きどころもある名盤です。
RGFCD1001(ROAD GOES ON FOREVER)
プリントが入った特殊ケース仕様
盤質:傷あり
状態:良好
軽微なスレあり、ケースに小さいヒビあり
RGFCD1001(ROAD GOES ON FOREVER)
プリントが入った特殊ケース仕様
盤質:全面に多数傷
状態:良好
スレあり
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。1974年の6thアルバム『The Power And The Glory』は、ウォーターゲート事件などの時事問題に影響を受け、「腐敗する権力」や「市井の人々が権力者からどのような影響を受けるか」といったテーマに基づいて制作されました。前作『In A Glass House』と比べると、各曲の収録時間が短くなったことが最も大きな変化と言えるでしょう。またサウンド面については、耳に馴染むソフトな音色が多用されており、重厚なヘヴィー・プログレが後退したことによって彼らの持ち味であるポップ・フィーリングが強調されています。とは言え、そこはもちろんクセのある音楽性で知られるGENTLE GIANTであり、コンパクトな中にも変則的なリズムの跳躍や突拍子もない急展開など、聴き手の予想を裏切るユニークな仕掛けが満載の名盤となっています。
74年ドイツ、75年アメリカ・ツアー時のTV放送ライヴ映像を収録。全盛期の超絶パフォーマンスをたっぷり味わえる必見DVD映像!いずれも良好な画質・音質にて、楽器の持ち替えを含む超絶的テクニックとアンサンブルを見ることができます。
盤質:傷あり
状態:不良
カビあり、オリジナルケースではありません
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