BIGPINK482(BIG PINK) 【2017年発売CD】
紙ジャケット仕様、英文ライナー付仕様。
基本的にはメロキャンとチューダーロッジの中間ややチューダー寄りという長閑なフォーク・ロックなんですが、一曲目がメロトロンの洪水が流れ込むキラーチューンで仰天!哀愁滲むウェールズ語ヴォーカルもいいなぁ。
ウェールズ出身のフォーク・ロック・バンド、原盤は激レアとして知られる75年の1st。何と言っても1曲目が必殺。軽快に刻むリズムとキンキンと響くサイケギター、そして分厚いメロトロンが洪水のごとく流れ込む大変素晴らしい一曲。かすかな哀愁を含んだウェールズ語のヴォーカルがまた堪りません。2曲目以降は女性キーボーディストによる清楚なフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした、英国の片田舎をイメージさせる長閑なフォーク・ロック・ナンバーが中心で、メロウ・キャンドルとチューダー・ロッジの中間(ややチューダー寄り)といった印象で実に良い味わいです。綺羅びやかなアコースティックギター、哀愁たっぷりのサイケがかったエレキギターが楽曲を彩っていて、彼らならではの味を出しています。英フォーク本来の格調高さと、どこか感じられる「いなたさ」がいい塩梅で共存する好盤です。
BRANは男性ヴォーカリスト兼ギタリストJohn Gwynと、女性ヴォーカリスト兼キーボーディストNest Howellsを擁する4人組グループ。74年に結成され、79年の解散までに3枚のアルバムを残しています。ではいきなりですが、一曲どうぞ。
ウィッシュボーン・アッシュっぽくもあるしターキッシュ・サイケのようでもある絶妙に土臭いリフに、チューダーロッジやメロウ・キャンドルを思わせる清楚で美麗な女性ヴォーカル。新鮮ですね。そして音もさることながら、英語とは全く異なるウェールズ語ヴォーカルの響きも非常に個性的です。というわけで、まずはウェールズについて簡単に見てみましょう。
ウェールズはイギリス(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)を構成する4つの国のひとつ。
イングランドの同島西側に位置し、13世紀末からイングランドの統治下に入っていたため他の地域に比べてイングランドとの結びつきが強い地域。とはいえ独自の文化を持つれっきとした一国です。近年のサッカー代表の成長も目覚ましいですね!BUDGIEやMAN、BLONDE ON BLONDEなどもウェールズ出身のグループです。
あまり知られていませんが、ウェールズでは英語と並んでウェールズ語が公用語として定められています。ウェールズ語を第一言語として使っているのは一部の地域だけだそうなのですが、ウェールズ全体の学校教育でも学ばれ話者は徐々に増えてきているとのこと。BRANのメンバーたちはウェールズ語が日常的に用いられている地域の出身だったのかもしれませんね。ちなみにBranはウェールズ語・アイルランド語で「オオガラス」という意味。またケルト神話に登場する神の名前でもあります。
それでは改めてアルバムを聴いてみましょう!一曲目「Y Ddor Ddig」(どう読むのかわかりません)をどうぞ。
陽気で軽快なリズム、ちょっぴり哀愁の滲むギター、そして……洪水の様に溢れる分厚いメロトロン!全体の質感はなんだかサイケ・チックでモコモコしてるし、男性ヴォーカルもウェールズのせいかどこか神秘的だし、やっぱり独特。でもなんとも言えない暖かみと「いなたい」感じの懐かしさがあって、非常に味わい深いサウンドです。
こちらは女性ヴォーカリストNest Howellsをフィーチャーしたフォーキーなナンバー。天にも届きそうな透明感のある歌声に心が洗われます。ただ、伸び伸びとしたウェールズ語とちょっぴり野暮ったいエレキ・ギターの響きのせいでしょうか。メロキャンやチューダー・ロッジといったブリティッシュ・フィメール・フォークの格調高さはあまりなく、やっぱりどこか田舎臭い、人肌のぬくもりのあるサウンドに仕上がっています。
敬虔で神秘的なNestの歌声と、土臭くいなたいアンサンブルの織り成す独特の雰囲気は、地域に脈々と受け継がれる土着信仰の儀式のよう。なかなか他にはないこの個性的なサウンド、癖になること間違いなしです!
ウェールズ出身のグループ、78年に発表された3rdにして最終作、ハード・ロック/ブルース・ロック色を押し出したソリッドなアンサンブルを展開する好盤!
2,190円(税込2,409円)
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1,890円(税込2,079円)
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帯【有】 解説【有】
盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
基本的にはメロキャンとチューダーロッジの中間ややチューダー寄りという長閑なフォーク・ロックなんですが、一曲目がメロトロンの洪水が流れ込むキラーチューンで仰天!哀愁滲むウェールズ語ヴォーカルもいいなぁ。
盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
※ 帯有
スペーシーに鳴るシンセをフィーチャーしたり、男性ヴォーカルはどこか神秘的だし、女性ヴォーカルの清楚な歌声はまるでアニー・ハズラムだし、すごいオリジナリティ。
ウェールズ出身のグループ、78年最終作。ハード・ロック/ブルース・ロック色を押し出したソリッドなアンサンブルで、シン・リジィからブリンズレー・シュウォーツまでを彷彿させる懐の深い音楽性を発揮!
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Bran、今最も再評価されるべきバンド!(7 拍手)
ひろきさんさん レビューをすべて見る
Branの音楽性を一言で表現するのは少し難しいかもしれません。様々な音楽性が同居していることがその理由にあげられます。彼らの最大の魅力は女性ボーカリスト、Nest Howellsの存在であると考えられます。彼女のangelic voiceはまさにバンドの一つのカラーを強力に印象付けています。特に4曲目の"Wrth Ffynnon"の美しさは筆舌に尽くしがたいほどです。彼女がリードボーカルをとっている全ての曲は聞き応えがあります。一方で、ギターリフを前面に出した曲も数曲あり、この方向性が好みを分ける一要素になるかもしれません。 なかでも"Blodyn"はStatus Quoの"Dog of Two Head"に入っている"Railroad"にほとんどそっくりなので驚きました。作者名は、Rossi-Youngではありませんでした。これはみなさんの耳で確かめてください。
このアルバム、CDはBIG PINKからですが、あのLee DorrianさんのRise Aboveからはレコードで発売されています。ちなみにA Box of Branという3CDという形式でもそのレーベルから手に入れることができます。つまり彼の目に止まったということは、 Branに高評価が下されたということになります。この後、second album, Hedfanのあと、Nest HowellsはPererinに移ってしまいます。
最後に余談になりますが、現在のWelsh female pop singer, Elin FflurはNest Howellsの娘にあたります。インタビューでもはっきり母親の影響をあげています。
彼女からも目が離せません。
サイケフォークの逸品。ラストに感動あります。(6 拍手)
らじおすたーの喜劇さん レビューをすべて見る
随分前に「ラビリンス」で紹介された時は「ほぇ?」となった程度。自分としては激レア盤よりも安レコにっち物の方が面白くなってきた頃だったし、ウェールズ語ということであんまり気に留めなかったのも事実。
1曲目の曲者ポップロック+メロトロンは面白い。個人的には2曲目以降でリードをとる女性に唄ってほしかった。全体的にはサイケ味なフォークということでおさまるかな〜と思っていると、ラストに感動的なインスト曲。これがたまらなかったりする。私同様この1曲でKOされた方は少なくないはず。