2019年12月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフみなとです。
プログレファンを惹きつけてやまない楽器、メロトロン。
どこか懐かしく、楽曲に深みを与えてくれる揺らぎある音色は、言葉では表せない魅力がありますよね。
今日はそんなメロトロンが使われている(と思われる)フォーク作品を集めてみました。
まずは「英フォーク三種の神器」の一つとして名高い72年の名盤。
ジャジーなリズム・セクションに響くクラシカルなピアノやハープシコード、そして隠し味のメロトロン。
声質の異なる女性Vo2人によるツインヴォーカルも華があって、絶品です。
メロトロン入り英フォークの名盤として語られてきた一枚ですね。
ただでさえふわふわと夢見心地なサウンドなのに、そこにメロトロンが入ってきて、現実とは思えないものすごいまどろみ感が聴き手を包み込みます。
後にSSWとしても秀逸な作品を発表する二人によるフォーク・デュオ、71年作。
英国叙情の美しいメロディーと彼らの穏やかな歌声、ハーモニーを活かした絶品ブリティッシュ・フォーク・アルバムです。
2:55あたりから、メロトロンがじわりと使われています。
ウェールズ出身のフォーク・ロック・バンド、原盤は激レアとして知られる75年の1st。
何と言っても1曲目が必殺。軽快に刻むリズムとキンキンと響くサイケギター、そして分厚いメロトロンが洪水のごとく流れ込む、大変素晴らしい一曲です。
こちらもウェールズ出身のグループ、71年発表の3rdアルバム。
アーシーなブルースに幽玄なフォークを足して、怪しいサイケで割ったようなサウンドは個性満点。
ラストナンバー「CHORALE」は、メロトロンが感動的に楽曲を盛り上げます!
男女ヴォーカルの英プログレ・フォーク・バンド、72年唯一作。
バンド名も(なぜ時間と蝿!?)ジャケもアングラ臭プンプンですが、フォークを軸にここぞでメロトロンやフルートが溢れ、エレキのリードも炸裂するサウンドは個性満点
2:00前後からメロトロンが入ります!
英国出身フォーク・ロック・バンド、ラスト・アルバムとなった71年作2nd。
リンディスファーンばりのグッドメロディに溢れた瑞々しく端正なフォーク・ロック。
バックでさりげなく使われるメロトロンが、曲に豊かな詩情を加えています!
以下の二つは、メロトロンという確証は無いものの、それらしい音がしている作品です。
お分かりの方いらっしゃいますでしょうか・・・
北アイルランド出身のフォーク・デュオ、73年唯一作。
寂寥感ある曲調の中、中間部で雪崩れ込むメロトロン(多分)の音色が存在感抜群です。
80年代に活動した英シェフィールドのフォーク・バンド、85年唯一作。
不穏なシンセサイザーの音と、エレキベースの音が特徴的で、クリアな女性ボーカルや笛の音も素晴らしく、神秘的な作品です。
こちらはメロトロン風シンセサイザーが鳴っている楽曲です。
最後に英国以外からも、メロトロン入りフォークの名盤をご紹介いたしましょう。
71年にドイツPILZレーベルからリリースされたアシッド・フォークの傑作。
トラッドとオリエンタル・テイストが入り混じる幻想的で酩酊的なアンサンブルが繰り広げられ、終盤では荘厳なメロトロンが炸裂。
英国フォークとは一味異なる、ジャーマン・フォークの魅力が詰まった一枚です。
レコード棚にもメロトロン・フォークがありました!
オーストラリアのフォーク・デュオ、75年作。
流れるようなアコギと、靄のようなメロトロンがたまりません。永遠に浸っていたくなる幽玄フォークです。
心に響く楽曲が見つかったでしょうか。
主役にも隠し味にもなるメロトロン・・・奥が深いです。
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Mike Oldfieldの作品への参加でも有名なClodagh Simmondsが在籍したブリティッシュ・フォーク・ロックの代表的グループの72年作。TUDER LODGE、SPIROGYRAと並んで英国トラッド・フォークの「三種の神器」と言われる本作は、適度なサイケデリアとアコースティックな味わいを持ち、湿り気のある英国叙情を伝えます。ジャジーなリズム・セクションを下地に端正なピアノやハープシコードがクラシカルに響き、楽曲によっては隠し味にメロトロンをまぶした作風。加えてバンドの個性である女性ツインボーカルは、ただただ美しいメロディーを歌い上げます。David WilliamsとAlison O’Donnellは本作リリース後に南アフリカへと渡りFLIBBERTIGIBBETを結成します。
74年にリリースされながらほとんど流通せずに幻となった英国フォークの激レア・アイテム。男女ヴォーカルによる美しいヴォーカル&ハーモニーと叙情的なメロディー、そしてそのバックで鳴り響く幽玄なメロトロン。トラッド色はほとんど無く、泣き、泣き、泣きのメロディー&フレーズで構成された幻想的なサウンドに終始夢見心地の名作。
紙ジャケット仕様、直輸入盤(帯・解説付仕様)、定価3,000
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、紙ジャケに目立つ黄ばみ・汚れあり、解説に黄ばみあり
ウェールズのプログレ・バンド、76年作の2nd。手数多くタイトなリズム隊、時にサイケで時にハードロッキンなエレキ・ギター、そしてハモンド・オルガンが一気呵成に畳み掛けるパートはサイケ・ハードなんですが、どこか良い意味でB級感がたまりません。さらに、時に宗教がかって厳かで、時にスペーシーに鳴るシンセをフィーチャーしたり、男性ヴォーカルはどこか神秘的だし、女性ヴォーカルの清楚な歌声はまるでアニー・ハズラムだし、すごいオリジナリティ。ブルース・ロックとサイケ・フォークを一緒に鳴らして、神秘性や敬虔さで包み込んだような感じ。愛すべきウェールズのバンド。オススメです。
ウェールズ出身のグループ、78年に発表された3rdにして最終作。正統派英国フォークを基本に持った1stからプログレッシヴなサイケ・ハードへと変化を遂げた2nd、そしてその変化の延長線上と言えるハード・ロック/ブルース・ロック色を前面に押し出したソリッドなサウンドをこの3rdでは聴かせます。後にPERELINで活動する女性シンガー/キーボーディストNEST HOWELLSの脱退により、サイケ・ハードなギターを主体とする熱量の高いアンサンブルを聴かせるようになり、演奏の強度が格段にアップ。とは言え軽快なリズムでゆるくプレイするパブロッキンな曲もあったりと、シン・リジィからブリンズレー・シュウォーツまでを彷彿させる懐の深い音楽性を発揮しています。そこに乗る東欧の言語にも似た響きを持つウェールズ語のヴォーカルも哀愁たっぷりで素敵です。好盤!
ウェールズ出身のフォーク・ロック・バンド、原盤は激レアとして知られる75年の1st。何と言っても1曲目が必殺。軽快に刻むリズムとキンキンと響くサイケギター、そして分厚いメロトロンが洪水のごとく流れ込む大変素晴らしい一曲。かすかな哀愁を含んだウェールズ語のヴォーカルがまた堪りません。2曲目以降は女性キーボーディストによる清楚なフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした、英国の片田舎をイメージさせる長閑なフォーク・ロック・ナンバーが中心で、メロウ・キャンドルとチューダー・ロッジの中間(ややチューダー寄り)といった印象で実に良い味わいです。綺羅びやかなアコースティックギター、哀愁たっぷりのサイケがかったエレキギターが楽曲を彩っていて、彼らならではの味を出しています。英フォーク本来の格調高さと、どこか感じられる「いなたさ」がいい塩梅で共存する好盤です。
60年代末期に結成されたウェールズ出身グループ、70年発表の2ndアルバム。少しマイケル・ジャイルズを思わせるタイトなリズム隊に牽引され、サイケデリックでフリーキーなギタープレイと哀愁を伴い朗々と歌い上げるスタイルのヴォーカルが活躍する、サイケな色合いを強く持つアート・ロック。木漏れ日感も感じさせるアコギによる温かくも少しメランコリックな影のあるアンサンブルも聴かれ、ほとばしるサイケ色と浮遊感あるフォーキーなサウンドがいい具合に共存しているところに、実に70年という時代らしさを感じさせます。随所でエコーを効かせてどこか靄のかかったような幻想性を生み出しているのも特徴的です。一方12分に及ぶ大曲はギタリストGareth Johnsonの本領発揮の一曲で、強烈な酩酊感を伴ったサイケギターが支配する圧巻のサウンドを聴かせます。時代の狭間を象徴するようなサイケデリック・フォーク・ロックの名品。
60年代末期に結成されたウェールズ出身グループ、キーボーディストが脱退し新たにギタリストが加入、ツインギター編成となった71年発表の3rdアルバム。サイケとフォーク・ロックを上手く取り合わせ独自のサウンドを聴かせた前作に対し、骨太なブルース・ロックを中心とするアーシーなアメリカ志向のサウンドを導入しているのが特徴的。フォーキーなナンバーでもブルース/ルーツ色が見え隠れする味わい深いサウンドを聴かせています。特に、サイケの残り香を含んだツインギターが炸裂するソリッドなブルース系ナンバーは抜群のカッコよさを誇っており聴き所。ただそんな中でも、英国的なリリカルなメロディーと淡々としながらも感情を揺さぶるヴォーカル、そしてメロトロンが雄大に盛り立てる感動的なラストナンバー「CHORALE」は、やはり彼らが英ウェールズ出身バンドであることを強く思い出させます。この後中心メンバーだったギターのGareth Johnsonが脱退し程なくバンドも解散、図らずも最終作となりましたが、数あるアメリカ志向のブリティッシュ・ロックの中でも極めて完成度の高いサウンドを聴かせる一枚です。
北アイルランドのベルファスト出身、ショーン・デイヴィーとジェイムス・モリスとで結成したフォークデュオ。73年の唯一作。レーベルは、ブリティッシュフォークの良作を多くリリースしているヨークレコードです。しっとりと流れるように奏でられるピアノのアルペジオ、マーク=アーモンドあたりを彷彿させる叙情的でいて洗練されたリズム・セクション、そして、ちょっぴりスモーキーでいて透明感のある繊細な歌声。一聴した印象は「流麗」なのですが、どこか厳かで胸が締め付けられるような物悲しさがあって、メロディ・ラインに意識を留めると、おぉそうか、サンディー・デニーが歌っていそうな感じ。どこか寂寞とした感じで、北アイルランドの寒々しい風景が思わず浮かんできます。オープニング・ナンバーから言葉を失うほどの名曲で、柔らかながらも純粋でいて芯のあるボーカルとギター、そこにアイリッシュ・ブズーキーがきらびやかに鳴らされ、ピアノが神秘的に入り込み、静かにオーケストラが交じってきて・・・まるでフォーキーな讃美歌のようです。アルバムには、中期キンクスを思わせる牧歌的な曲もあり、2人が紡ぐポップなメロディも特筆もの。プロデューサーはストローブス結成メンバーのトニー・フーパ―。ジャケの内気そうな2人そのままといえる内省的でいて気品に満ちた、英国フォーク・ポップの隠れた名盤です。
80年代に活動した英シェフィールドのフォーク・バンド、85年唯一作。再生してすぐ、どこか不穏なシンセサイザーの音に驚かされます。ベース、ドラムがしずしずと入り込み、マディ・プライアを少しか細くしたような女性ボーカルは存在感たっぷり。まろやかなハイトーンボイスが美しいです。メロディーはケルト音楽の影響が色濃く、強烈な湿気を伴って響き渡ります。ホイッスルやマンドリンなど民族色あるオーガニックな楽器と、シンセサイザーやベースギターなどの電子楽器が幻想的に絡み合うそのサウンドは、スピリチュアルなスティーライ・スパンといった趣です。
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