7月6日・7日に六本木のBillboardLive東京で行われた、「トニー・ヴィスコンティandウッディ・ウッドマンジー play デヴィッド・ボウイ”世界を売った男”」の7日の公演を観てまいりました。
メインとなる3rd全曲演奏に加え初期ボウイの名曲オンパレードとなったライヴの様子を、オリジナル音源を交えつつお伝えいたします!
まず本公演のメンバーについて。
トニー・ヴィスコンティと言えば、2nd「スペース・オディティ」以降多くのボウイ作品を手掛けた名プロデューサー。ウッディ・ウッドマンジーは、ご存知グラム・ロック期のボウイを支えたバンド、スパイダース・フロム・マーズのドラマーです。(3rd録音時はハイプ)
他のメンツもキャリア豊富な実力派揃い。グレン・グレゴリーは、元ヒューマン・リーグのIan Craig MarshとMartyn Wareが結成したHEAVEN 17の元ヴォーカリストとして有名。ジェイムス・スティーヴンソンは、ビリー・アイドルのグループGeneration Xの元ギタリスト。そして英国のマルチ奏者テリー・エドワーズは、ニック・ケイヴやトム・ウェイツ他有名ミュージシャンのセッションに数多く参加するソロ・アーティストです。
更にバックコーラスとして参加するのが、故ミック・ロンソンの息女リサ・ロンソン、そしてヴィスコンティとメリー・ホプキンの息女であるSSWのジェシカ・リー・モーガンの二人。
彼らを含む全9人のメンバーが、今回ヴィスコンティがプロデュースを手掛けたデヴィッド・ボウイの70年作「世界を売った男(THE MAN WHO SOLD THE WORLD)」の再現ライヴを行います。
会場に着いたのが19時開演の45分ほど前。最前列テーブルの2列目の席に座るとステージとの距離はほんの1mあまり。ステージには青いライトに照らされたドラム、ギター、サックスなどがセットされており、これから始まるレジェンド2人を含んだ演奏に対しての期待がこみ上げてきます。
ビールと軽食を楽しみながら開演の時と待っていると、ふいに六本木の夕景に幕が引かれ、メンバーが登場!
ウッドマンジーは赤いTシャツを着たラフな格好に、まだまだ現役感抜群のガタイの良さを感じさせます。トレードマークである黒メガネに白いシャツの襟をツンと立てた尖った出で立ちのヴィスコンティもカッコいい!さすがボウイと長くタッグを組んできた人物、御年71歳とはまるで思えないセンス溢れる着こなしが見事です。
ヴォーカルのグレン・グレゴリー、大柄のスキンヘッドでスーツ姿をビシッと決めた出で立ちは、ずばり「ダンディー」。
リサ・ロンソンはステージに上った瞬間に「あの人だ」とわかるくらいにミック・ロンソンの面影がある美人の方でした。
スティーヴンソンとポール・カッドフォードのダブルギターはそれぞれ両端に位置取ります。カッドフォードはレフティなので、2人のギターがネックを外に向けてちょうどシンメトリーなルックスになっており、非常にステージ映えする感じでカッコ良かったですね~。
演奏はもちろん3rdのオープニングナンバー「円軌道の幅 (The Width of a Circle)」からスタート!オリジナル通りギュイーンとノイジーなギターが鳴り響き、一気に迫力抜群のロック・アンサンブルになだれ込みます。ただでさえダブルギターで音の厚みが凄い上に、それを1メートル余りの距離で聴いているので、そのあまりの音圧に思わずのけぞってしまうほど。特にウッドマンジーのドラミングは、ライヴでかつ近距離ということがあるにしても、年齢をまるで感じさせないパワフルさに驚きます。独特のスカンと抜けるスネアの音がまた気持ちいいんですよね~!
「THE WIDTH OF A CIRCLE」
こういうライブの場合気になるのが、「ボウイ・ナンバーを聴いている!」という感覚が持てるかどうかだと思います。それを決定づけるのは間違いなくヴォーカルなわけですが、そういった懸念はグレン・グレゴリーが歌い出した時点でほぼ払拭されました。ボウイの歌い方を意識しているのは確かながら、そこはやはりプロ、無理のない自然な感じで歌いこなしており、ボウイ・ナンバーとしての雰囲気は非常に大事にされているように思えました。ビブラートのかかった伸びやかな歌声はかなりボウイに近い印象で、聴き入ってしまいましたね。素晴らしい!
アシッド・フォーク調から終盤へ向けてドラマティックに盛り上がる「ALL THE MADMAN」、ボウイ流ブルース・ロック「BLACK COUNTRY ROCK」と続くナンバーも絶好調!ヴィスコンティは時折コミカルな動きや表情を見せながらも、ツボを押さえたクールなベースプレイで演奏をタイトに引き締めます。
「BLACK COUNTRY ROCK」
ハイライトは、切れのあるソリッドなアンサンブルが出色の名曲「SAVIOUR MACHINE」。タイトなドラミングと2本のギターが牽引する緊張感溢れる演奏を経て、シリアスな物語調の歌詞をグレゴリーが朗々と歌い上げます。変拍子も交えた複雑な展開を持つナンバーですが、オリジナルのドラマーウッドマンジーは勿論のこと、さすがベテラン揃いだけあり安定感抜群の演奏でしたね。重厚に迫ってくるようなインストパートが続き、最後は突如一糸乱れずのカットアウトによる決め!こ、これはカッコ良すぎ~!客席からもここまでで一番大きな拍手が沸き起こります。
「SAVIOUR MACHINE」
タイトルナンバー「THE MAN WHO SOLD THE WORLD」も名曲ですね。ミック・ロンソンが弾いたあのどこかアンニュイな印象深いリフレインが忠実に再現され、こちらもまた気だるげにヴォーカルが歌い出します。元々がシリアスで暗い曲調なだけに、全体のサウンドとしてはより厚みのあるドラマティックな音作りとなっていて、ライヴ映えする仕上がりでしたね。
「THE MAN WHO SOLD THE WORLD」
最後は、「ア~ア~ア~」というコーラスが印象的な「SUPERMEN」!ここではテリー・エドワーズがアコギからサックスに持ち替えて、饒舌にテーマを歌い上げます。終盤、ウッドマンジーがここに来て最高にパワフルなドラミングを披露!手数多くまくしたてるプレイに観客も立ち上がってノリまくってましたね~。ノッていた客を見てか、終わった瞬間にヴィスコンティが「ワン・モア・タイム!」と叫び、再びアウトロのを繰り返すサービスもありました。
「SUPERMEN」
いや~、時にオリジナルに忠実に時により豪快でパワフルに、現代の解釈を加えつつ蘇った『世界を売った男』、堪能いたしました~。
そしてここからは「HUNKY DORY」~「ARADDIN SANE」までの初期ボウイ・ナンバーから名曲ばかりが登場!
まずはウッドマンジーのドラムから演奏がスタート。おそらく人生でもっとも多く聴いたイントロの一つであろうドラム・パターンが響きます。そう『ZIGGY STARDUST』のオープニングを飾る「FIVE YEARS」です!思わず「おおっ!」と声が出てしまいましたね。
ロック史に燦然と輝く大名盤の冒頭を飾るあのドラムを、まさかオリジナル・ドラマーによる演奏で体験できる日が来るとは夢にも思っていなかったので、それはそれはもう大大感動でしたっ!泣きました!最後「FIVE YEARS」のフレーズを繰り返すところでは、5本の指を立てて観客も一緒に大合唱!いや~幸せな瞬間でしたね~。
「FIVE YEAS」
オリジナル通りサックスがたっぷりとフィーチャーされたドラマティックな「MOONAGE DAYDREAM」、そしてそして「ZIGGY STARDUST」もやってくれましたよ~!高校時代に出会って以来愛してやまないあの名盤のナンバーが次々と蘇るステージに、いつまでたっても感動が途切れません。
「ZIGGY STARDUST」
ボウイ作/モット・ザ・フープルの代表曲として知られる「すべての若き野郎ども(ALL THE YOUNG DUDE)」のサビでも合唱が!ステージ上のメンバーと観客が一体感が素晴らしく、一ロックファンとしてもう居心地が最高でしたね~。メドレー形式で「OH! YOU PRETTY THINGS」へと続いていきました。
「ALL THE YOUNG DUDE」
「CHENGES」も素晴らしかったし、そのあとにはジギーのラストナンバー「ROCK’N’ROLL SUICIDE」もプレイ!最後の「WONDERFUL!」のパートでも合唱が起こります。普段は冷静に聴く人がわりと多いプログレのライヴに行っているためか、今回は観客の熱さも印象的でした。体全体でライヴを楽しんでいる感じでしたね。
「CHENGES」
「ROCK’N’ROLL SUICIDE」
『ALADDIN SANE』収録曲「TIME」での、オリジナルのボウイを踏襲したエキセントリックな歌唱も絶品でした!
そして最後は、ノリの良さならボウイ中No.1であろう「SUFFRAGETTE CITY」!!いや、わかってますね~!
ここに来ては観客も総立ちで踊りまくります。最後もちろんはオリジナル通り「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ…SUFFRAGETTE!」のワンフレーズで締め!同時に割れんばかりの拍手が会場を満たします。笑顔で応えるメンバーたち。
「SUFFRAGETTE CITY」
ステージを去るメンバーにしきりに握手を求める観客の手が伸びます。一人ひとりと丁寧に笑顔を返し握手をするメンバーたち。観客全員が間近で演奏を体感できる、そして手を伸ばせばミュージシャンたちと気軽に握手ができるというのは、普段行く中規模以上のホールコンサートでは決して体験できないこの規模の会場ならではの魅力だと感じました。
ロックの歴史を作ってきた2人のレジェンドを中心とする今回のライヴ、始まるまでどういうものになるのか全く想像ができなかったのですが、蓋を開けてみれば予想を大きく上回る大充実のステージでした!一曲一曲でデヴィッド・ボウイという偉大な才能に対してのリスペクトがひしひしと感じられましたし、エンターテインメント・ショーとしてもこれ以上ないという素晴らしいステージだったと思います。
最高の一夜をありがとう、Tony&Woody!
all photos by Masanori Naruse
ペーパースリーブ仕様、2枚組
盤質:無傷/小傷
状態:並
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
ボックス入りペーパーケース仕様、ブックレット・ポスター・ポストカード4種付き仕様、帯元からあったか不明
盤質:傷あり
状態:並
帯-
カビあり、圧痕あり
71年作の4thアルバム。1曲目の「CHANGES」をはじめて聴いたとき、感動で震えました。なんて美しいメロディとハーモニー。そして強烈に個性的なヴォーカル。その他の楽曲も、美しいメロディが続く佳曲揃い。傑作「ジギー・スターダスト」に全く劣らない名作です。
72年5th。地球にやって来た異星人「ジギー」がロック・スターとして成功し、やがて没落していくストーリーを描いたロック・ミュージカル風の作品。SF的コンセプトを彩る楽曲全てが素晴らしく、実にキャッチーでドラマティック。厳かなピアノとシアトリカルなヴォーカルで、架空の世界に一気に引き込まれるオープニングの「Five Years」、アコギのイントロ、控えめなヴォーカルからメロディアスなサビで盛り上がる「Star Man」、軽快なロックンロール・ナンバー「Hang On To Yourself」、ミック・ロンソンの力強いギター・リフがドラマティックな「Ziggy Stardust」と、ボウイの抜群のメロディーセンスが全編に発揮されています。グラム・ロックの頂点に立ち、ロック史においても燦然と輝く名盤。
デジパック仕様、2枚組、DVD、NTSC方式、リージョンフリー、定価5800
盤質:傷あり
状態:不良
帯有
カビあり、盤にもカビあり、いたみあり
DVD、NTSC方式、リージョン2、帯・解説付仕様、英文ライナー付仕様、日本語字幕あり、定価3800+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
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