2021年6月3日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
先日リリースされた、FRENCH TVによる21年作『ALL OUR FAILURES ARE BEHIND US』。
アメリカのネットラジオでのプログレ・アルバム・ランキングでTOP3にランクインするなど、今注目が集まる話題作となっているんです。
1983年に米ケンタッキー州で結成されたFRENCH TV。初期は固定メンバーを擁していましたが、90年代以降はベーシストのMike Saryを中心に、作品ごとに外部からミュージシャンを起用して制作するという、彼のプロジェクト的な色合いが強いグループとして活動しています。
そんな近年のFRENCH TVにおいて特筆すべきなのが、11枚目にあたる2016年作以降、4作品で正規メンバーとしてプレイしているギタリスト米田克己氏の存在。
現米プログレでも随一の技巧派バンドで堂々たる演奏を披露していて、特に我々日本人プログレ・リスナーにとっては何とも嬉しいところですよね。
本作のPVがこちら。
メンバーは、上記の通り16年作への初参加から4作目となるジャパニーズ・プログレTEEのギタリスト米田克己、17年作より参加する米ジャズ・ロック・バンドVOLAREのキーボーディストPatrick Strawser、00年代の作品でもプレイしたドラマーJeff Gard、そして御大Mike Saryの4人編成+ゲスト・プレイヤーという布陣。
変拍子を自在に交えテンポチェンジを繰り返す複雑なリズムワークを土台に、メロディアスで浮遊感あるフレージングにただならぬ緊張感が潜むギター、つややかなトーンでカンタベリーチックな優雅さをもたらすシンセが躍動する、今作もまったく一筋縄ではいかないアンサンブルが炸裂しています。
随所でスリリングに切り込んでくるゲスト奏者のサックス、ヴァイオリンも効果的。
とにかく少しも一所に留まっていない目まぐるしく変化していく緻密かつ大胆不敵なサウンドに終始翻弄されます。
FRANK ZAPPA、SAMLA MAMMAS MANNA、カンタベリー・ロックなどの影響を取り込みつつ、独自のユーモラスなタッチも添えて痛快なフュージョン/アヴァン・プログレに仕立て上げた一枚。
バンドメンバーが自信作と述べるのも大いに納得の快作となっています!
次ページでは、以前16年作に米田氏を含む日本人ミュージシャン3人が参加した際に公開した特集をご覧いただければと思います。
FRENCH TVというバンドの特異さが伝わる米田氏へのインタビューも必読ですよ~!
【次のページ】16年作『AMBASSADORS OF GOOD HEALTH AND CLEAN LIVING』特集
84年の結成以降、バンド創始者であるベーシストのMike Saryを中核に活動する米テクニカル・アヴァン・プログレの名バンドによる2021年作14th。16年作への初参加から4作目となるジャパニーズ・プログレTEEのギタリスト米田克己、17年作より参加する米ジャズ・ロック・バンドVOLAREのキーボーディストPatrick Strawser、00年代の作品でもプレイしたドラマーJeff Gard、そして御大Mike Saryという4人編成を基本に制作。変拍子を自在に交えテンポチェンジを繰り返す複雑なリズムワークを土台に、メロディアスで浮遊感あるフレージングにただならぬ緊張感が潜むギター、つややかなトーンでカンタベリーチックな優雅さをもたらすシンセが躍動する、今作もまったく一筋縄ではいかないアンサンブルが炸裂しています。随所でスリリングに切り込んでくるゲスト奏者のサックス、ヴァイオリンも効果的。とにかく少しも一所に留まっていない目まぐるしく変化していく緻密かつ大胆不敵なサウンドに終始翻弄されます。FRANK ZAPPA、SAMLA MAMMAS MANNA、カンタベリー・ロックなどの影響を取り込みつつ、独自のユーモラスなタッチも添えて痛快なフュージョン/アヴァン・プログレに仕立て上げた一枚です。バンドによる自信作とのコメントも大いに納得の快作!
日本の新鋭シンフォ・グループによる08年リリース1stアルバム。フルートを全編にフィーチャーし、CAMEL的であると共にユーロ・ロック的とも言えるロマンとエレガンスを湛えたシンフォニック・ロックを展開。どっしりと安定感あるプレイで演奏を支えるリズム・セクション、クラシカルで流麗な音運びが魅力のピアノ、ロマンティックな美旋律をとめどなく紡ぎ出すフルート、そのフルートに寄り添いながらも時には雄弁にリードを取るギター。全編インストながら、歌心を感じさせるアンサンブルに胸打たれます。特にフルートは、数あるフルートをフィーチャーしたプログレの中でも際立つほどに音色が美しく思わず聴き惚れてしまいます。演奏技術の高さ・楽曲の良さ・メロディの美しさ、どれをとっても現ジャパニーズ・プログレ最高峰に位置付けられる素晴らしいバンド!
日本の新鋭シンフォ・グループによる11年作2nd。ヨーロッパの情景を描いたコンセプト・アルバム。変拍子満載のテクニカルなアンサンブルに華麗なフルートが舞う、70年代ユーロ・ロックを彷彿させるサウンドが素晴らしい!前作よりもやや緊張感が強まったようにも感じられ、ダイナミックに迫るリズム隊やキレのあるソリッドなギターのプレイと、フルートやピアノの流麗でファンタジックなプレイが鮮烈に対比される展開が聴き所です。その中でも、アグレッシヴに吹きまくるパートでも一貫してエレガントな佇まいを崩さないフルートの驚異的なパフォーマンスは出色。前作が気に入ったならまず間違いないジャパニーズ・プログレの傑作!
05年の結成以来、関東を中心に活動を続けている日本のプログレ・バンド。2016年作の3rdで、仏MUSEAからの世界リリース盤。聴いていて頭に浮かんだキーワードが「日本のソラリス」。全編で瑞々しく躍動するフルート、ハケットやラティマーなどへの敬意とともにフュージョン・タッチの洗練も感じさせるエレキ・ギター、そして、透明度の高いシャープな音空間を演出するピアノやキーボード。しっかりしたテーマのパートを軸にしつつ、拍子の異なる「静」と「動」の多彩なパートをめくるめく繰り出していくダイナミックな展開もまた聴きどころです。オール・インストのため、何も情報なく聴けば、日本のバンドとは思わず、ヨーロッパのバンドと思うでしょう。「鮮烈」でありながら「静謐」。これは70年代のユーロ・ロックのファンは必聴といえる名作です。
05年の結成以来、関東を中心に活動する日本の5人組プログレ・バンド、22年4thアルバム。ドラムス/パーカッション、ベース/フレットレス・ベース、ギター、ピアノ/シンセ、フルート/ピッコロという編成で、ギタリスト米田克己は米老舗アヴァン・プログレ・バンドFRENCH TVのメンバーとしても活躍中。CAMELや、それを受け継ぐスペインのGOTIC、オーストラリアのSEBASTIAN HARDIEらが持つ、リリカルな軽やかさと溢れんばかりの叙情美を受け継いだ絶品インスト・プログレを楽しませてくれます。ズシっと重めに刻むタイトなリズム・セクションが持つ緊張感と、ひたすら美麗な旋律を紡ぐフルート、フルートに気品高い佇まいで寄り添うピアノ、A.Latimer+S.Hackettと言える優美さの中にエキセントリックなセンスを隠し持ったギターらのファンタジック&エレガントなプレイが一体となり、どこまでも流麗でありながら同時にアグレッシヴな強度の高さも感じさせる演奏がただただ素晴らしいです。上記したグループのファンのみならず、すべての美旋律プログレ・ファンに聴いて欲しいジャパニーズ・プログレの新たな傑作!
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