2015年9月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
ベルギーのアヴァン・プログレ・フォーキーな新鋭バンドFOLLIA!を特集いたしましょう!
ずばり一筋縄ではいかない音を求めるすべての音楽ファンにオススメできるハイセンスなグループ。これまでの3作品ともに素晴らしい作品ですが、特に3rdアルバムの突き抜けっぷりは凄い!生きていたらザッパも膝を叩いたはず!?
バンドの結成は99年。Pieter(Vo/ヴァイオリン)とJohan(バグパイプやボタン式アコーディオン奏者)のDecanq兄弟とSammy Lee Daese(フルート)の3人を中心に結成されます。
結成以来、ベルギーをはじめ、オランダやルーマニアなど各国のフォーク・フェスに参加して高い評価を得たようです。
メンバーチェンジとともに、様々な無国籍音楽を飲み込んでは、音を洗練させていき、04年にリリースしたデビュー作が『KISS ME YOU FOOL ! KISS ME LILA』!
バグパイプとフルートが東欧の民族音楽に根ざしたオリエンタルなエキゾチズムたっぷりのリードを伸び伸びと奏で、その脇で、ヴァイオリンが時に不協和音でアヴァンギャルドな精神性を、時に優雅に舞ってクラシック音楽に根ざした気品で満たし、その後ろでは、ちんどん屋とロックが結びついたような、そんな思わずリズムを取ってしまう軽快かつタイトなリズム隊とシャープにリズムを刻むエレキ・ギターがロック的ダイナミズムを注入する、というスタイル。
7割はインストですが、残り3割にはヴォーカルが入り、独特のこぶしの効いた民族音楽調のヴォーカルが印象的。
ジェスロ・タルからアクを取って、同じベルギー出身のCOSあたりのセンスを加えて、めちゃめちゃオシャレに洗練させた感じ!?
デビュー作にして、民族音楽に根ざした哀愁と実験精神豊かな痛快さとが同居したアヴァン・プログレ・フォークを確立した傑作です。
そして、デビューから2年を経た06年にリリースした2ndが『GRASSHOPPER』。
デビュー作と比べ、民族音楽色が増し、中世時代から変わらぬ農村風景や市場の活気が伝わってくるような陽気さに溢れたオリエンタル・フォークが印象的。
イタリアALTROCKからの作品が人気のHUMBLE GRUMBLEのリーダーGabor Humble(Guitar)も正式メンバーとしてクレジットされているのも特筆。彼が奏でる雄大なサウンドにしなやかにエッジを生むエレキ・ギターはさすがのセンス。
ブラジル音楽、タンゴ、インド音楽、ジプシー・スイング、北アフリカ音楽などのエッセンスが散りばめられているのもデビュー作にはなかったポイントで、無国籍サウンドっぷりはこのバンドの真骨頂!
傑作デビュー作に勝るとも劣らない逸品でしょう。
06年作2nd以来、8年ぶりにリリースされた3rdが『FOLLIA !』。
クレジットを見ると、メンバーが大きく変わっており、大きな変更としては、Pieter Decancqのメンバークレジットが無くなっているのと(作曲、歌詞にはクレジットあり)、女性ヴォーカルIndra Booneの参加、それと、HUBLE GRUMBLEからHumble Gaborの他、Jouni Isoherranen(ベース)、Jonathan Callens(Dr)の3人が正式にメンバークレジットされています。
プロデュースもHumble Gaborが担当。
モノトーンの女性と色彩豊かなイメージとがコラージュされたジャケットがぴったりのサウンドで、デビューからの持ち味である東欧の伝統音楽に根付くオリエンタリズムとともに、ユーモラスな諧謔風味、踊りたくなるようなグルーヴ感などをゴッタ煮にしつつ、洗練された「音」に仕立てるモダンなセンスは特筆。
気品のある美しい歌声が魅力の男女ヴォーカル、伸びやかに奏でられるフィドルがゆったりとたゆたうユーロ・フォークあり、サックスがブイブイと鳴る民族舞踏エッセンスのあるエスノ・フォークあり、COSのDNAも香るアヴァン・フォーキー・ポップあり、デヴィッド・アレンばりのアヴァン・アシッド・フォークあり、ヒップポップまで飛び出すわ、ベルギーらしい実に屈折感たっぷりな佳曲が並んでいます。
民族調ヒップ・ホップ!?からのフィドルがオリエンタルなフレーズを雄大に奏でるパートへとスイッチする展開なんて、このバンドでしか成し得ないでしょう。オリエンタルなフィドルそのままに、メタリックなギターリフが切れ込んできたり、いやはや恐るべしなアイデアとセンス。
これは、多くのリスナーに届けたいなぁ。ずばり一大傑作!
最後にライヴ映像をお届けいたしましょう。
わぉ、観客が輪になって踊ってる!!!
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