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CHRIS SPEDDINGの70年作ソロ『BACKWOOD PROGRESSION』 – MEET THE SONGS 第102回

今日の「MEET THE SONGS」は、クリス・スペディングの70年作ソロ『BACKWOOD PROGRESSION』をピックアップいたしましょう。

クリス・スペディングというと、みなさまはどんなバンドや作品をイメージするでしょうか。

やはりニュークリアス?英ロックマニアは、バタード・オーナメンツ、はたまたアンディ・フレイザーとのシャークス?もしくは、ギタリストとして参加したリンダ・ホイルやジャック・ブルースの作品?

R&B~ジャズ・ロック寄りの作品だけでなく、ロキシー・ミュージックやニルソンやエルトン・ジョンなど幅広いアーティストと共演していたり、一般的には職人気質のギタリストとしてのイメージが強いと思いますが、SSWとしても優れた作品を数多く残しているんですよね。

そんな彼のソングライター&歌い手としての魅力がつまった作品が、70年にHARVESTからリリースされた『BACKWOOD PROGRESSION』です。

この作品の少し前にソロインスト作『Songs Without Words』を録音しましたが、リリースはヨーロッパと日本のみでしたので、実質的には『BACKWOOD PROGRESSION』がソロデビュー作と言えるでしょう。

簡単にこの作品までのバイオグラフィをみてまいりましょう。

プロとしてのキャリアのスタートとなったのが、ピート・ブラウン率いるバタード・オーナメンツ。69年に『A MEAL YOU CAN SHAKE HANDS WITHIN THE DARK』でデビュー後、ピート・ブラウンを解雇し、クリス主導のもと、2nd『MANTLEPIECE』をリリースします。

『MANTLEPIECE』では、ギターとヴォーカルを担当し、後のソロ作に通じる、R&B~ジャズのエッセンスと米ルーツ・ミュージックへの憧れに満ちたスワンプ風味、英国的な叙情美が混ぜ合わさったコクに満ちたサウンドを聴くことができます。

プログレとロック、ジャズとロックの間に埋もれたニッチな作品ですが、ジャズ・ロックのファンだけでなく、スワンプ・ロックのファンにも聴いてもらいたい素晴らしい作品です。

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バンド解散後は、本格的にギタリストとしての活動をはじめ、数多くの作品に参加します。まず参加したのが、天才ヴァイブ奏者フランク・リコティのジャズ・ロック名作『OUR POINT OF VIEW』。

テクニカルなフレーズはなく、派手さはありませんが、作品に陰影と奥行きをもたらすギターはまさにいぶし銀。英ジャズ・ロックならではの淡いトーンに彼のギターはぴたりとはまります。

Mike Gibbsのツアーに参加するなど、英ジャズ・シーンで頭角をあらわし、いよいよイアン・カー率いるニュークリアスに加入。

R&B~ジャズ・フィーリングとともに叙情が滴り落ちるフレージングには一層磨きがかかっていて、イアン・カーやカール・ジェンキンスやジョン・マーシャルといった名手たちととともに、青白い炎が揺らめくような静謐かつふつふつとしたエネルギーを内包したアンサンブルを聴かせています。

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同時期の参加作としては、ジャック・ブルースのクリーム解散後のソロ・デビュー作『SONGS FOR A TAILOR』も特筆。

ふくよかでいて、絶妙なタイム感によるエッジもあって、歌心とともに渋みもあって、「芳醇」という言葉がぴったりの絶品なバッキングは職人技をこえて、もう名工の域。

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そして、ニュークリアス在籍時に、HARVESTレーベルよりリリースしたソロが『BACKWOOD PROGRESSION』。

ニュークリアスはVERTIGO在籍なので、クリスは、VERTIGOとHARVESTという英ロック~プログレの2大人気レーベルをまたに掛けていたんですね。凄い。

オープニングから、『アビーロード』のB面メドレーをちょっぴりスワンピーにしたような淡く渋いブリティッシュ・ロックのあまりのカッコ良さに言葉を失います。なるほど、録音はアビー・ロード・スタジオで、エンジニアはアラン・パーソンズ!

バックの演奏も素晴らしく、ロバート・ワイアットのソロにも参加するドラマーLaurie Allanとソフト・マシーンやニュークリアスで活躍の名ベーシストRoy Babbingtonによるタイトなリズム隊はやはり別格。さらに、ほぼ無名ながら、驚くほどに艶やかでリズミックで流麗なフレーズで格調高さを加えるRoyston Mitchellのピアノも特筆です。

クリス・スペディングの演奏も言わずもがな。「歌」を引き立てるメロウでいてキレのあるリズム・ギターはもはや円熟の域に達していますし、タメとともに浮遊感もあるメロディアスなリードも冴え渡り、それを優しく包み込む柔らかなトーンのアコギも絶品。

ヴォーカルはギターと比べると一流とは言えませんが、ボブ・ディランとレイ・デイヴィスの中間に位置するような、時にルーズで、時にエモーショナルで、時に酔いどれたヴォーカルは味があります。

憂いあるメロディも良くって、アーニー・グレアムやデイヴ・ルイスあたりのアーシーな英SSWが好きなら、きっとグッとくるはずです。

いかがでしたか?

リチャード・トンプソン、デイヴ・メイスンや、日本では鈴木茂あたりに通じる、ギターよし、歌ってよしな職人ミュージシャン。

ギタリストとしてだけではなく、SSWとしてももっともっと評価されるべき名手ですね。

なお、クリス・スペディングが参加したプロジェクト・バンドPANHANDLEによる71年の唯一作もリイシューされています。こちらもオススメ!

PANHANDLE/PANHANDLE

クリス・スペディング参加作としても、英スワンプ・ロックとしてもニッチ&ディープな一枚ながら、演奏のコクと英国らしいメロ、最高だなぁ。

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