中南米サイケ冒険記〜MotorPsycle Diaries〜 1.旅立ちのアルゼンチン篇

見慣れた景色、見慣れた笑顔、初めて見る泣き顔、しばしの別れ...。でも、行くんだよ。はじまりは、そんな旅人の後ろ髪引かれる想いを断ち切ってくれるような、たぎる冒険心と疾走感に溢れる、この曲から！
「Linvin' Free!!!!!」

頬をつたう不覚の涙は、土埃のせい？そんな乾いた土埃のなかに立ち現れる、マジカルなメロディ。他のアルゼンチン勢と比べるとちょっと異色なソフト・ロック・テイストの5人組ビート・バンド。さあ、ビートに乗っかって、前へ、前へ。

猛烈な土埃にヤられ、逃げ込むように入った食堂で出されたメニューは、たっぷりとサイケデリック・ペッパーをまぶした肉の串焼き！男臭く、汗臭い、肉の焼ける香ばしい匂いが漂ってくるような「アルゼンチンのジミヘン」による73年ソロ・サイケ作！

穏やかな午後のスタートは、スペイン語で「虹」を意味するサイケ・フォーク・グループ。甘い男女ヴォーカルと、ボサノヴァに通じる郷愁感。穏やかで柔らかく、それでいて目の前が真っ白になるような幻惑感を覚えさせてくれる、昼下がりの酩酊曲。

陽が傾きだした午後3時。フロイド『狂気』にも通じる深遠なエコーにとっぷりと包まれ、その強烈なアシッド感と、引きずるようなブルース・アンサンブルに足を取られ、なかなか前に進めない...。そんな、中毒度高めのサイケ・ハード・トリオ。

アルゼンチン篇、最後の一曲は、中南米サイケを代表するグループの傑作1stから。夜の帳に溶けゆく黄昏のメロディとハーモニー。旅人の疲れを癒す、温かい迎え唄のようだ。さて、そろそろ今宵の宿でも探そうか...。感動の09年ライヴより。