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現イタリア最高峰のシンフォニック・ロック・プロジェクトDORACOR特集! 文・祖父尼淳

DORACOR

2016年にAMSよりリリースされたDORACORの2枚組大作『Passioni Postmoderne Di Un Musicista Errante』は、21世紀のシンフォニック・プログレを代表する傑作となった。かつてないほどのスケールで繰り広げられる壮大なシンフォニック・ワールドは、彼らの現時点での最高傑作と呼べる高い完成度を誇っている。米国の医学博士ロバート・ランザ教授は、2007年に“Theory Of Biocentrism”という理論を提唱した。その理論は「この世にあるものは、すべて人間の意識が創り上げたもの、つまり空間や時間、世界のすべては人間が意識しているからこそ存在している。さらに言えば、パラレルな形で死後の世界も存在している」といったものである。その信憑性については専門家に任せるが、本作はその理論に触発されたキーボーディストCorrado Sardellaが、現在と過去に生きた思い出と経験といった視点から彼のこれまで培ってきた壮大なヴィジョンで、89分におよぶ2枚組コンセプトとして音楽化に成功している。これは、2011年にリリースされた前作『La Vita Che Cade』のコンセプトともリンクしている。アルバムのアート・ワークは、”Machinarium”と呼ばれるコンピュータ・ゲームの未来的なイメージが描かれており、Corrado SardellaとGino Allegrittiが担当している。

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メロトロンをはじめとする壮大なキーボード、優美なヴァイオリン、メロディアスなギター、効果的な管楽器、情感豊かなメロディ、強化されたリズム・セクションによる緩急と明暗の対比が絶妙で、まさに本作のコンセプトというべきまだ見ぬ世界をダイナミックに表現している。本作ではCorradによって丹念に紡ぎだされるシンフォニックなキーボードと多彩なゲスト陣とのコラボレーションという体裁をとっており、総勢16人に渡るゲスト陣が話題である。特に注目されるのが、今年12月30日のボローニャでのコンサートを最後に50年の歴史を終えるPOOHのRed Canzian(1曲目)の参加である。一聴してわかる存在感のあるベースは本作の価値を高めている。またドイツのメタル・バンドPORADOXのKostas Milonas(Drums)、来日での演奏も記憶に新しい元LABYRINTH、現MANGALA VALLIS等のRoberto Tiranti(Vocals)、DELIRIUM、LA MASCHERA DI CERAのAlessandro Corvaglia(Vocals)らがゲスト参加している。その他では、お馴染みのRiccardo Mastantuono (Guitars, Violin)、Milton Damia (Vocals, Guitars)、Nicola Di Già (Guitars)に、Maurizio Testani (Bass)、Michel Labex Labaki (Bass)、Jacky Man (Bass)、Patrizio Destriere (Sax)、Mario Barletta (Trumpet)、Ian Beabout (Flute)、Mike Wilbury (Guitars)、Mimmo Picco (Guitars)、Andrea Pavoni (Keyboards)らが参加している。ぜひDORACORの導きだしたまだ経験したことのない壮大なパラレル・ワールドを垣間みてはいかがだろうか。


さて、ここ最近傑作を連発しているイタリア期待の新鋭DORACORの活動を辿ってみよう。DORACORはバンドかと思いきやローマ出身のキーボーディストであるマルチ・ミュージシャンCorrado Sardella (Keyboards, Synths, E-Drums, Bass)のシンフォニック・プロジェクトとして1990年代後半に生まれている。彼が手がけた最初の作品としては未発表となっている1994〜1996年のデモ作品『Wanderlust』が存在している。ということでDORACORは新鋭と思いきや、すでに20年の活動歴がある。

満を持して1997年にデビュー作『The Long Pathway』をイタリアのメロウ・レコードよりリリースする。GENESISのTony Banksに影響を受けたキーボード・スタイルが印象的で、好事家のあいだでTony Banksの再来かと注目されていた。サウンド的には、いわゆるロマンティックなTony Banks系シンフォニック・ロックで、ひとりキーボード・シンフォを壮大に聞かせてくれた。彼の素晴らしい才能の萌芽を感じさせるも、当時、全編打ち込みのドラムとデジタリーな音色が好き嫌いを分けていた。この辺りの音はもう一工夫、ひねりを加えるなど意外性がないと耳のこなれたシンフォ・ファンには物足りなさがあることも本音であった。しかし当時、70年代の優れたイタリアン・ロックの再発を数多く手がけていたメロウ・レコードにとっては、彼の将来性に期待するものは大きかったものと推測される。Corradoも2011年の作品まではレーベルを離れることはなく、お互いの信頼関係が築かれていたのだろう。

全体的な路線は変わらないもののCorradoによる楽曲やサウンド・プロダクションは少しずつ進化を遂げていく。アグレッシヴに畳み掛ける1998年の2作目『Segni Premonitori』では ゲストとして長年、彼のサポートを務めることになるMassimo Farina (Guitar)とEmanuele Toti Pinto (Vocals & Recitation) が参加、大作指向かつクラシカル路線を強めた1999年の3作目『Antiche Impressioni』では、Massimo Farina (Vocals, Guitar)、Marco Fedele (Guitar)、Gianna Chillà (Voice)が参加し、順調に作品をリリースしていく。これらの作品は、ギターやヴォーカルなどのゲスト・ミュージシャンの手助けを得ているものの、ほとんどすべての楽器を自らが演奏したインストのシンフォニック・ロック作品である。フルバンドかつ70年代指向のサウンドではあったので、Corrado自身もバンド形態でやりたいというのが本音だったのだろう。

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21世紀に入った2001年には、さらに大曲主体でファンタジック路線を強めた『Transizione』をリリースする。本作では、Corrado Sardella (Keyboards, Synthesizers, E-Drums, Bass)の他、Milton Damia (Guitar, Vocals)、Nico Di Già (Guitar)、Massimo Farina (Lead Vocals)、Marco Fedele (Guitar)、Luisa Ladu (Lead Vocals)、Riccardo Mastantuono (Violin, Guitar)にゲストのPierfrancesco Drago (Flute)ら7人のミュージシャンの助力を得て、バンド的側面を強化した初の作品であった。それによってやはり躍動感が出たこともあり、これまで以上に完成度の高い作品となっている。70年代イタリアのロマンティックなシンフォやGENESISの中期のサウンドを彷彿させるものだ。

2005年にしばらくぶりとなった『Evanescenze』をリリースする。前作『Transizione』から4年の歳月を経て制作されているが、メンバーは大きな変化はなく、Corrado Sardella (Keyboards, Synthesizers, E-Drums, Bass)の他、参加ミュージシャンはMilton Damia(Vocals, Guitar)、Nicola Di Già (Noise & Ambient Guitars)、Massimo Farina (Guitar), Maurizio Pace (Guitar)の他, ゲストとしてRoberto Franzò (Guitar)が参加している。Corradoのぶれのないロマンティックなシンフォ・サウンドはさらに透明感に溢れ、ファンタスティックかつメロディアスな作風をさらに強めていった。

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2007年にリリースされた『Onirika』も前作と同様の路線だが、さらにスケール・アップした佳作となっている。Corrado Sardella (keyboards, synthesizers, drums, bass) 、Milton Damia (Vocals, Lead Guitar)、Riccardo Mastantuono (Guitar,Violin)、Vincenzo Antonicelli (Sax)、Maurizio Pace (Guitar), Nicola Di Già (Noise & Ambient Guitar)らをメンバーに、ゲストのGianna Chillà (Vocals)が参加して、大曲(10分以上)3曲を軸に壮大なシンフォニック・ロックを構築している。Corradoの壮大で美しいキーボードとメロディアスに展開されるギターを軸に、情感溢れる女性ヴォーカルや艶やかなヴァイオリン、サックスを導入し、Corradoが思い描く理想のファンタジーをたおやかに紡いでいる。

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2008年にCorrado自身がアート・ワークを手がけた『Lady Roma』をリリースする。本作は初のベーシストMarco MaiolinoとゲストでNUOVA ERAのドラマーDavide Guidoni(1, 4, 8, 9曲目)を迎い入れた作品で、バンド形態としての初作品となった。Corrado はKeyboards, Synthsのみを演奏している。さらにゲスト・ドラマーとして6曲目でMARILLIONのIan Mosleyが、2, 3, 5, 10, 11曲目でセッション・ミュージシャンとして有名なVittorio Rivaが参加している。その他は欠かせない常連組Riccardo Mastantuono (Guitar,Violin, Mandolin),Milton Damia(Vocals, Guitar), Vincenzo Antonicelli(Sax)とIL TEMPIO DELLE CRESSIDREのElisa Montaldo (Vocals, Recitation), Daniele Si Nasce (Recitation)がゲスト参加している。アート・ワークやアルバム・タイトルのように洗練されたクラシカルで優美なシンフォニック・ロックは前作『Onirika』で格段にスケール・アップしたが、さらにスケール感を持ったドラマティックな佳作に仕上がっている。気品のあるポップ感と情感あるメロディアスなギターも好事家を満足させるものだろう。

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佳作となった前作『Lady Roma』から3年を経た2011年に『La Vita Che Cade』をリリースする。今回もアート・ワークはCorrado自身が手がけている。メンバーはベーシストが交代し、ギターのNicola Di Giàが復帰した6人で、ドラムは6人のゲスト・ドラマーが務めている。Corrado Sardella (Keyboards, Synths), Riccardo Mastantuono (Guitars, Violin), Milton Damia (Vocals, Guitars), Vincenzo Antonicelli (Sax), Claudio Paglierini (Bass),Nicola Di Già (Noise & Ambient Guitars)で、ゲストとしてVittorio Riva (Drums), Stefano Marazzi (Drums), Claudio Simonetti’s Goblinでもお馴染みのTitta Tani (Drums), Juan Pablo Gonzalez (Drums), NUOVA ERAのDavide Guidoni (Drums), Vladimiro Melchiorre (Drums), Ivano D’Ortenzi (Vocals), Gianluigi Giorgino (Guitars)である。本作は、過去から未来へ至る世界の変遷と人類への警鐘を促したコンセプト作である。サウンド的には『Onirika』、『Lady Roma』の路線を踏襲しているが、これまで描き続けてきたロマンティックな叙情性はさらに洗練され、幻想性も加味され、これまで以上にダイナミックかつドラマティックに畳み掛ける壮大なイタリアン・シンフォニック・ロック絵巻となっている。DORACORは作品をリリースするごとに完成度が高くなっていくが、本作は2011年および21世紀のプログレッシヴ・ロックを代表する傑作となった。そして本作のコンセプトは次作へ引き継がれ、さらなる高みへと登りつめていくのである。

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