COLUMN THE REFLECTION 第69回 ロックのヴォーカル・アンサンブルに驚かされた日々の想い出 〜 ヴォーカル・ハーモニー、コーラスの魅力 〜 不定期連載 ? 文・後藤秀樹
音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「Column The Reflection」!今回は、ヴォーカル・ハーモニー、コーラスに注目して、有名アーティストからニッチなアーティストまで取り上げます。どうぞお楽しみくさだい☆
UTOPIA (TODD RUNDGREN'S UTOPIA)
CLO1194BR(PURPLE PYRAMID)
デジパック仕様、2CD+DVD+ブルーレイディスクの4枚組、リージョンフリー、入力方式記載なし、ブックレット付仕様
盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
※ 1枚は傷あり、3枚は無傷〜傷少なめ
レビューは登録ユーザーのみ記入できます。
4人の地力が発揮されたユートピア(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ユートピア諸作の中で、「ラー」や「アドベンチャーズ」を抑えて、最も好きな盤です。英国プログレッシブとウェザー・リポートの中間のような音楽から出発したユートピアは、目まぐるしく傾向を変え、結局この盤に象徴されるようなコーラス中心のポップ・ミュージックを演奏しはじめます。ひとつには、バンドとしての熟成があったから。トッドひとりでなく、各メンバーがリード・ボーカルをとるようになっています。(ここらへんが、この盤の人気のなさ、の由縁かも知れません。)
ユートピアのポップ感覚は、美メロの中にアバンギャルドやサイケデリックが混じったものです。ポール・マッカートニーやスティービー・ワンダーのように。だから常に驚きがあるし、飽きが来ません。比較的短い曲でまとめられたこの盤を、自分はとても良くできていると思いますよ。「ラブ・イン・アクション」なんてニック・ロウみたいです。よくこんなメロディが書けるな、と思います。
7曲目に永遠の名曲「殉教者(ザ・マーター)」がやってきます。もう、あまりに美しくて、居住まいを正さざるを得ません。冒頭のアクースティック・ギターを聴いただけで腰が抜けそうになります。そして、フィル・スペクターのような音壁に振り下ろされる盆踊りビート。どうだ、どうだ、とぐいぐい攻めてきます。そしてリード・ボーカルがトッドではなく、カズだという…。バックに流れる千と千尋に出てくる「ハク」のようなギターの叫び。完璧です。