TELL MAMA: THE COMPLETE MUSCLE SHOALS SESSIONS

お願いですから、エッタ・ジェイムズさんを聴いて（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

ジャニス・ジョプリンは、本当は「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」をカバーしたかったんじゃないでしょうか。さすがに恐れ多くて「テル・ママ」になったのではと想像します。ジャニスがエタに憧れてあの歌い方になったことが痛いほどわかります。エタの魅力が全開になっている印象の大名盤です。エタ・ジェイムズは、ずっと高音域でなく、地声に近いところで表現する人でした。ジャニスの歌い方も彼女に近く、特に「コズミック・ブルーズ」は、この盤の影響を受けていると思います。

彼女のマッスル・ショールズ録音盤ということで、アレサ・フランクリンの「 I Never Loved A Man The Way I Love You」とイメージがダブってしまいます。自然な感じの残響がある演奏がよいです。アラバマだあ〜、と思ってしまうわたしは、単なる嘘つきですが…。エタは、察するに肌が合ったのでしょうね。歌のうまさに加えて、とても自由で、聴いているこちらまで嬉しくなってくる録音です。チェススタジオ録音のスクエアな演奏もいいのですが、伸び伸びしたロック傾向の曲と演奏はエタに新しい魅力をもたらしています。それに選曲が素晴らしい。聴き飛ばしていい曲なんてありません。2023.04.26