英国産シンフォニック・ロックの新鋭バンドによる傑作08年デビュー作。YESのトリビュートバンドFRAGILEのメンバーを中心に結成されたグループであり、同国プログレバンドTANTALUSのメンバーも名を連ねる期待の新人です。その音楽性は、彼らのルーツにふさわしいYES系の硬質かつタイトなサウンドが魅力のシンフォニック・ロックとなっており、ヴァイオリン、フルート、チェロなどの管弦楽器も大きく取り入れ、スケール感と緻密なアレンジで聴かせます。Rick Wakemanの影響が色濃いキーボーディストをはじめ、至るところに70年代レトロな正統派シンフォニック・ロックへの憧れがつまっており、バンド陣はもちろんのこと、ボーカルもメロディアスでジェントルに響く英国然としたものです。ネオプログレ的解釈は皆無であり、どこまでも気品溢れる70年代ブリティッシュ・プログレの構築にこだわり抜いた、完成度の高い傑作です。
IL CASTELLO DI ATLANTE/SONO IO IL SIGNORE DELLE TERRE A NORD
92年作、イタリア、往年のシンフォニック・ロックの名盤を想わせる秀作
250円(税込275円)
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予断をもたずに聴いてみましょう!(2 拍手)
yes_90125さん レビューをすべて見る
AQUAPLANAGEの08年デビュー作。
YESのトリビュート・バンドFRAGILEのメンバーが中心となって結成されたグループということもありYESと比較されることが多いようだが、一度その情報はリセットしてから聴いた方が良いと思う。
確かにキーボードはRICK WAKEMANを連想させるけれどWAKEMANほどの華やかさはないし、YESには欠かせないコーラスワークも少し弱い。
アレンジなど音楽的な分析ではなく、アルバムを聴いた印象だけで言ってしまうとYES系ではあるがそこまでYESサウンドではない(FRAGILEのデビュー・アルバムにも同じことが言えるような気がする)。
しかし、これはマイナス面をあげつらっているわけではなく、予断を持たずに彼らの音楽に耳を傾けてほしいということ。
フルートやストリングスを導入したアレンジは優雅で、ピアノやアコースティック・ギターの演奏は繊細で美しい。
1曲目は15分におよぶ組曲、エキゾチックな雰囲気を漂わせる2曲目、「ロックンロールしようぜ」的な7曲目、そしていくつかのインスト曲・・・若干バラつきはあるが全体的なバランスは悪くない。
70年代のプログレを継承しながらオリジナリティもあり、まだ伸びしろがあると感じていたのだが、今のところこれが唯一作だと思う。