レビューは登録ユーザーのみ記入できます。
わたしは「ルーモアズ」より好き(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
数十年もCDにならなかったことで、過小評価どころかそもそも知られていない盤です。未だ本国では未CDです。この盤があったから、ミック・フリートウッドの耳にとまり、二人がマックに加入。おそらくは、キース・オルセンの強力な推薦があったのでしょう。カントリーをベースにしながら、当時の西海岸の水準を軽く突き抜けた水準の音楽です。わたしは、西海岸の最良の音ではないかと思っているほどです。もう「クライイン・インザ・ナイト」のアクースティックのカッティングから、ずしーんと来ます。
とにかくギターの音と二人の声が最高最良です。西海岸と言えば反体制とフリーダムです。ところが、乾いた恋愛観を歌い、ハーモニーをつける二人の音楽は全く新しい。ギターは基本線をアクースティックでつくり、電化ギターを要所要所で効果的に入れています。指の強さに自信がある演奏は、ぐらつくところがありません。バッキングハムの声にはニックスがコーラスをつけ、ニックスの声にはその逆。…なのですが、二人とも自立していて、気持ちよいほど男女関係を感じさせません。バッキングハムだけを欲しがったフリートウッドに、ニックスと一緒じゃなきゃいやだ、と彼は言ったそうです。
「ドント・レット・ミー・ダウン・アゲイン」「フローズン・ラブ」では、バッキングハムのブルーズ・ギターが堪能できます。これがハードロック的でさらに盛り上げます。アディショナル・トラックは、コーダとして聴いてください。それでも「ソーサラー」という傑作が含まれていますけど。2023.10.27