イングリッシュ・ボーイズ / ワーキング・ガールズ

自分が持っていなければポチっとしたいところ（2 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

「セカンド・ハネムーン」「ドント・ストップ・ザ・ワールド」ほどねじくれていませんし、聴かせる曲という感じではないです。ところが、始まるや否や、坂道を転がるような、ジェットコースターが発車してしまったような、やかましくも派手派手な展開に呑み込まれます。デフ・スクールは、わかりやすいリフを叩きつけるグループではなく、全体のアンサンブルで聴かせると申しますか、全パートが全力で走る珍しいポップ・バンド。ボーカルも男女歌いわけますし、ベースはぶりぶりと派手ですし、ピークではぶわぶわとサックスが鳴りますし。ニューウェーブの影響は明らかで、でも流行の音をやってみましたという雰囲気は全くないです。つくづくこのバンドに出会っていて良かったと思います。

セイラーやスモーキー、デフ・スクールが活躍していた70年代後半英国は、今から考えると君は薔薇より美しかった気がするのです。ロック本流でもなく、消耗品としてどんどん忘れ去られていきました。この路線で成功したのは、クイーンとせいぜいストレイだけ。クイーンが、グラム・ポップのファン層を全部吸い尽くした感もありまして、少々残念なのです。手に入るうちにぜひ。2021.12.19