カナダはケベックのテクニカル・プログレ・グループ。08年作3rd。プログレ、ジャズ、アヴァンギャルド、クラシック、ヘヴィ・メタルなどの要素が一体となった、圧倒的にスリリングでダイナミックで瑞々しいテクニカル・プログレ。聞きながら出てきたキーワードを並べてみます。デイヴ・ギルモアを彷彿とさせるロング・トーンのメロディアスなギター、格調高いタッチのピアノ、炸裂するメタリックなギター、ダイナミックに躍動するピアノ、シャープな変拍子、浮遊するジャジーなギター、緩急自在の展開、荘厳なストリングス、スパニッシュ・ギター、狂気のヴァイオリン・ソロ。圧倒的なテクニックと構築力で一気に駆け抜ける、圧巻の名作。
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ケベック産のプログレグループ佳作(2 拍手)
0321PROGさん レビューをすべて見る
08年作
カテゴリー的にはテクニカルジャズロックと言われているようですが、ク
ラシカルなサウンドからPink Floyd風ブルースロック、へヴィープログレ、
フュージョン、メタル、フラメンコまで包括する、ジャンルのボーダーを
飛び越えた作品となっています。
冒頭からいきなり30分の組曲が展開されますが、この楽曲がバンドの個性
を物語っていると思います。Pink Floydの「狂気」のような悩ましげなギ
ターから幕を開けますが、すぐにへヴィーなアンサンブルに。そして、ジ
ャズっぽいアプローチを見せたかと思いきや急に音響的なドローンサウン
ドが支配。再びジャズロックが戻ってくるとインプロヴィゼーションの応
酬。そのままテンションを徐々に上げ、最終的にはザックリしたメタル系
ギターが幅を利かせます。その後もピアノやギターが巧みにフレーズを操
りながらメタルからジャズロックまでのカラーを作り、盛り上げています。
ストリングスを導入した純クラシカルな雰囲気もあり、またスパニッシュ
テイストを盛り込んだアコースティックなアンサンブルなどは、かなり魅
力的です。キーボードがピアノをメインに展開するので、メタル方面へ手
を出さずにこういう方向でやっていったほうが彼ららしい気がしますね。
急激に音楽性を変えて驚かせると言うよりは、いつの間にか別ジャンルに
なっていた、と言うくらいに流れが自然なのが興味深いところであり、ソ
ロ部分など凡長な所もありますが、なかなか面白い作品です。ちょっとイ
ンプロヴィゼーションが多すぎかな、と言う印象ですが、ダイナミズムは
結構なレベル。