HUMBLE PIE/ROCKIN' THE FILLMORE
71年リリースのライヴ・アルバム、ドクター・ジョン「I Walk On Gilded Splinters」の23分を超えるカバーは圧巻!
550円(税込605円)
「音楽歳時記」 第五十八回 11月1日 紅茶の日 文・深民淳
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
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ハル・ブレインの名人ドラムズも聴きもの(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
名盤の定義とは…。捨て曲がないことなんですか。違うと思いますよ。名曲が入っていることが名盤の定義でしょう。「ラブ・ウィル・キープアス・トゥゲザー」と「ザ・ウェイ・アイ・ワォントトゥ・タッチユー」が入っているだけで名盤に決まっています。75年の年間シングル一等賞に輝くキャプテン・アンド・テニールは、わたしの最初に好きになった洋楽の人たちです。ところがその後ロック・ユーザーになってしまったわたしは、二人に洋楽を教えてもらった恩義を忘れてしまいました。ポップスなんか聞いてられねぇぜ、と…。数十年ぶりに「ラブ・ウィル」を聴いたわたしはあまりの幸福感に男泣きしてしまったのであります。
A&Mがカーペンターズの二匹目ドジョウを狙ったデビューでした。そんなことはどうでもいいんです。キャプテンを名乗るダリル・ドラゴンがビーチボーイズのステージ・サポートをしていたこと。そんなこともどうでもよろしい。ブライアン・ウィルスンやブルース・ジョンストンが曲や演奏で協力していること。それは少し覚えておいたほうがいいかな…。夫婦デュオの純粋なポップ魂と芸の巧みさ。それが時代とシンクロして記念碑的シングルとなった。ここが大事です。要するにわたしはこの音に客観的になることができません。トニ・テニールの声に涙する老人でいいのです。2024.07.17