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ジャズで最も好きなカバーアート(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
まさしく都会的な音、クールな音楽だと思います。ソニー・クラーク(p)、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ポール・チャムバーズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、58年ニュージャージー録音、ブルーノート1588番。管楽器二枚を立てて、リズム・セクションは、「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」のお二人です。最初聴いたときソニー・クラークの演奏を、バックに徹しているような印象を受けました。彼の演奏、音数は少ないと思います。クラークが作曲している2曲を含めて、熱狂的な演奏が出てくるわけではありません。
ところがクラークのソロが始まると、フィリー・ジョーのドラムズが呼応してリズムが活気づくのです。また、クラークは偶数の音符を奇数に分解する天才で、アクセントを加えてきます。管楽器のソロでは、的確なコード弾きで静かにそれを支えます。ピアノとドラムズを合わせ技で聴くようにすると、息ぴったりでひとつの生き物のようです。引いては返す波のようです。ジャズにはラテンやアフリカのフレイバーたっぷりで体が自然に揺れてくるタイプがありますが、このレコードで聴けるのは、理知的で頭に優しい音楽です。飽きません。これこそスタンダード。2023.04.07