ジェシ・デイヴィスの世界

意外にも…ブルーズよりロックンロール（7 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

デレク・アンド・ザ・ドミノズ、デラニー＆ボニー、レオン・ラッセルと進むと必ずぶち当たる個性派ギタリスト。セッションで起用されることが圧倒的に多いデイビズは、自作曲をクラプトンやデラニー・ブラムレットには聞かせていたんでしょう。この二人がレーベルを紹介し、制作を買って出ている性格のファースト録音です。率直に言って彼のボーカルは素人同然です。純朴さだけが取り柄の歌唱を、手堅い演奏が支える盤です。「ウルル」の心優しさはここにもあります。加えて弾けるようなデイビズの若さ、ロックンロール魂が嬉しくなります。

難を言うとすればクラプトンのギター。仕方ないことではあるんですが、クラプトンのギターはデイビズより流暢なので、目立つんです。ダブルでリードを弾くパートもあるんで、比較されているようで…。あとはドラマーがころころと替わること。スネアのチューニングが南部向きでないドラムズは、ユーザーの集中を欠く気がします。わたしがニューオリンズの後ノリに浸かっているせいなんですかね…。

「ワシタ・ラブ・チャイルド」では、デイビズの生い立ちが歌われています。この子にはギターとペンがあるのよ、と母親が言う。つまり幼少期から作曲をしていたということ。わずか3枚のリーダー作は、わたしの米国棚を豊かにしてくれています。2022.04.29