ジョーカー

スティーブ・ミラーとキュウリの関係（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

貧乏なわたしが自分に許している贅沢に、お寿司屋さんがあります。回らないお寿司屋さんです。ねたは地魚中心、ランチがあるお店で、海のある県に住んでいて本当によかったと思います。好きなネタがサバ、そしてかっぱ巻きです。かっぱ巻きが好きと言うと、へんな顔されるんですが、タンパク質中心の品ぞろえの中、ビタミンがとれるかっぱ巻きは重要。寿司店の真髄と言えるメニューではないでしょうか。お店の経営にも有利、つまりお店を支えるメニューでもありますし。ロック界のかっぱ巻きと言えるのがスティーブ・ミラー・バンドではないでしょうか。

彼らの特徴は軽いことです。サイケもニューウェーブもなく、独自の路線を歩いていますし、たいていはビルボード80位あたりをうろうろしています。軽いんだけど、うまさは格別で昔からの曲を聴かせてしまう磁力を持っています。「セイラー」とか「ナンバー5」とか昔のアルバムを時々引っぱり出しますもん。それが「ジョーカー」の頃は、不思議と業界表に出てきました。スティーブ・ミラーのしつこくないギターは、ニック・ロウみたいな職人芸を感じさせます（ロウはベースですけど）。

わたしの好きなかっぱ巻きの食べ方はわさびを効かせることです。スティーブ・ミラーもブルーズをやる時はそんな感じで、このレコードには「カモン・イン・マイ・キッチン」のライブが入っています。バンドの本質はめろめろ路線のこちらなんでしょう。でもそれを表に出さない賢さが彼らの良さです。2023.04.27