MAGGOT BRAIN

世界でもっとも危険な「名盤」（5 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

プログレッシャーのかたにお訊きします。アフリカ系の音楽に抵抗もってらっしゃいませんか。…いや、かつての自分がそうだったものですから。レコード棚の統一感が崩れるような気がしていました。きょうは、ジョージ・クリントンとエディ・ヘイゼルという名前だけ覚えて帰っていただいて結構です。

「マゴット・ブレイン」という何を表現しているのかわからないタイトル。ドラッグの世界に深く関係しているようです。表紙の表情は、思いっきり叫んでいるようにも、脳内をウジ虫に食われているようにも読み取れます。アフリカには、傷口の膿をウジ虫に吸わせる、という治療法があるそうで。関係ないですね。1曲目が10分。電化ギターの独演だけでもたせます。フランク・ザッパの「ウォーターメロン」にも匹敵するギター曲のマスターピースです。ハードロック患者もプログレッシャーも、この曲には打たれると思いますよ。

そして、始まる壮大なプログレ・パンク大会です。エナジーってのはこういうことを言うんだぜ。いや、冗談でなくデビュー時のイエスは、こんな音楽をやりたかったんだと思っているんです。演奏はあほみたいに上手いし、アイデアは際限ないし。呆気にとられているうちに全曲終わってしまいます。肌感覚では20分ぐらいでしょうか。リーダーのジョージ・クリントンは、ただのファンク狂いのおやじ。彼がスカウトしたのが、ギター弾きのエディ・ヘイゼル。とりあえず、この二人の名前を覚えておいて損はないですぜ、だんな。2023.10.03