JOKER

ブルーズをこれだけ明るく演れる人はいない（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

シングルで全米1位となった「ジョーカー」が、なぜ売れたのかわからない自分です。作曲クレジットを見ると、アハメット・アルティギュンとスティーブ・ミラーとの共作になっています。こりゃ、好き放題やれるわけだ。レーベル・オーナーと友達づきあいしているんだから…。スティーブ・ミラーは、ブルーズの伝道師のように言われています。しかしこの盤や「フライ・ライク・アン・イーグル」を聴いて、ブルーズ・ベースだと気づく人はいないんじゃないでしょうか。そのぐらいブルーズに洗練と軽さを加えた人で、なかなか真似できないことです。

「シュガー・ベイブ」から飛ばします。いい曲ばっかりです。ミラーは他人曲でも関係ありません。全部自分のものにしてしまうので。ギターの腕力も大したものながら、何よりの特徴はボーカルの明るさです。自分の声で三度のハモりをダブルトラックで録音するのが彼のくせ。これはビートルズを聴いて育った世代には抗えない魅力です。

この盤で素晴らしいのが「カモン・イン・マイ・キッチン」の一人弾き語りライブです。ロバート・ジョンスン曲で、スタンダードです。この曲をこれだけ鮮やかに聴かせる人は、ミラーのほかにはスティブン・スティルズぐらいでしょう。快感しかありません。2024.08.07