2020年6月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
カケレコ在庫からファンキーでグルーヴィーな音楽を探求していく「カケレコ的ファンキー・ミュージック」。
前回は「エネルギッシュなファンク」でしたが、今回ご紹介するのはちょっぴり繊細なファンク・ミュージック。
ジェームズ・ブラウンなど黒人が生み出したファンク・ミュージックが、スライ&ファミリー・ストーンのような白人黒人混合グループを経て白人のリスナーにも受け入れられていったというのは前回ご紹介した通り。
60年代後半~70年代半ばにはアース・ウィンド&ファイアーやクール・アンド・ザ・ギャング、アイズレー・ブラザーズ、そしてご存知元アニマルズのエリック・バードンが結成したWARなどなど人気ファンク・バンドが続々と登場し、ポピュラー・ミュージック界にファンクの波が到来しました。
もちろんそれは英国でも例外ではなく。米国ルーツ・ミュージックに感化されたブルース・ロックやスワンプ・ロックのミュージシャン、またジャズ志向のブラス・ロック・グループなどがいち早くファンクを自身の作品に取り入れていきます。
1975年にはかのLED ZEPPELINも6thアルバム『フィジカル・グラフィティ』で黒人ファンク・ミュージックからの影響色濃い「Trampled Under Foot」を披露していますね。
70年代後半になると映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の公開もありディスコ・ムーヴメントが開花。ファンク・ミュージックはより大衆に向けたディスコ・サウンドへと変化し人々の間で人気を博していくのですが、その話はまたの機会に。
今回は英国の作品を中心に、黒人のエネルギッシュなファンクに憧れつつもちょっぴり繊細さが滲む、愛すべき「哀愁のファンク」をご紹介してまいりましょう。
まずはアメリカで大ヒットをした代表的ホワイト・ファンク・バンドをご紹介。
スコットランド出身なのに、このコシの入ったグルーヴィーさ!
インストながら全米で1位を獲得した「Pick Up The Pieces」収録の傑作74年1st!
こちらも74年作。あれ、ポール・ウェラー!?と思ったら、英ブルース・ロック3大バンドのひとつSAVOY BROWNで活躍したシンガーによるソロ・アルバム!
エレピが跳ね、ホーンがぶいぶい鳴り、ソウルフルな歌唱が染み渡る~。
マイナーながらカッコイイ一枚!
マイク・ヴァーノンといえば、BLUESBREAKERSやFLEETWOOD MACを手掛けた名ブルース・プロデューサーだよね?
それが何故、ソロ作ではこんなポップで小洒落たファンキー・サウンドに!?
洒脱でスワンピーなアンサンブルと気だるいヴォーカルがクールすぎる73年作。
そんなマイク・ヴァーノンが、セッション・ミュージシャンを集めて本格ファンクに挑戦!?
都会的なグルーヴとブルージーなエッセンスが溶け合ったノリノリなサウンドはロック・ファンにもオススメです!カッコイイ~。
次はカナダからから哀愁ただようファンキー・ミュージックをご紹介。
カナダのグループ、米国チャートで18位に入ったヒット・シングル「When I Die」収録の69年作。
CHICAGOやBS&TのソウルフルさとBREADなどのソフト&メロウさが一緒になった感じ!?哀愁ほとばしるサックスやギターもたまりません。
最後はユーロのファンキー・ロックをご紹介!
これ、ジャズファンク+カンタベリーと言えちゃうかな?
ヴァンデ総帥からMAGMAの2ndドラムに抜擢されるメンバーなど実力者が集った仏ジャズ・ロック・バンド、強靭かつ気品高い73年デビュー作!
「米国ファンク/ディスコ影響下のジャーマン・ロック」ってなんだか胡散臭そうですが、サウンドは間違いなく一級品!ファンキー・フュージョン・ロックとしても楽しめる逸品です。
元FRUMPYのkey奏者Kravetzのジャジーなエレピも炸裂する名盤2nd!
最後はファンキー×ポップ・ロックな米新鋭による19年作をご紹介。
STEELY DANや後期CARAVANを思わせる、ヴィンテージなオルガンやエレピを取り入れたサウンドが良いなあ。グルーヴィーかつ暖かみあふれる作品!
いかがでしたか?ぴったりの作品が見つかれば幸いです!
英国三大ブルース・バンドの一つSAVOY BROWNのヴォーカリスト。74年にデラムよりリリースされた2ndソロ作。ARTWOODS〜DOG SOLDIERのギタリストDerek Griffiths、JOE COCKERやJESSE DAVISの作品への参加やGREASE BANDで活躍したドラマーBruce Rowlandなどバックも鉄壁。デビュー作に比べソウル/ファンク色が増しているのが印象的で、エレピが跳ね、ホーンがぶいぶい鳴るファンキーなパートからスウィート&ソウルなパートへとドラマティックに展開する2曲目はカッチョいいし、3曲目なんてまるでポール・ウェラーだし、4曲目でのソウルフルな歌唱も板についてるし、歌い手としてもソングライターとしても一級品。残念ながらヒットには恵まれなかったようですが、まさにいぶし銀な名作です。
JOHN MAYALL & THE BLUESBREAKERS、FLEETWOOD MACなど数々のバンドのプロデュースを手掛け、英国ブルース・ロックの立役者として名高い名プロデューサーMike Vernonによる73年2ndソロ作。こ、これは「アーシーでスワンピーなROXY MUSIC」って感じ!?コクのある米スワンプ・ロックを下地としつつ、スッキリと洗練されたベースやドラムのリズム。エネルギッシュかつ洒脱なブラスや流麗なギター、そしてけだるげなヴォーカルも含めて、とても武骨なブルース・ロックを率いてきた人物とは思えぬ、オシャレでキレの良いファンキー・ロックを展開。なおかつオシャレなだけに終わらず、リズミカルに跳ねるベースにヘロヘロとしたアシッディーな音が合わさったり、サックスとギターがストレンジなフレーズで絡み合ったり、緻密かつひねくれたアレンジはまさに英国的!前述のROXYやQUANTUM JUMPなど、英国の一筋縄ではいかないポップ・ロックが好きな方はきっとイチコロのはず。このアルバム、イケてます!
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!