JUST ANOTHER BAND FROM LA

一緒に笑えないのが「つらい」（2 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

例えばYMOの「急いで口で吸え」の可笑しさをどう言語化すればいいのですか。ことに英語圏の人にそれを英語で説明するのは、たぶん不可能です。マザーズ時期のフランク・ザッパ一座の面白さは、そう考えると、われわれに理解するのが無理に思えてくるんです。この盤は、24分にわたる「ビリー・ザ・マウンテン」という悪ふざけから始まります。なぜ可笑しいかは、やっている当人たちにとっても感覚的なものでしょう。わたしの好きなスティブン・スティルズの曲を出鱈目にカバーしている一座を聴いて、絶望に近い気持ちになります。

ライブ盤であることに期待して、超絶な演奏を期待してこの盤に向かうと、肩透かしに遭います。演奏力はたしかなのでしょうが、メンバーの寸劇、壊れたファルセットのコーラスに阻まれて、演奏を楽しむところまで行きません。「アンクル・ミート」と並んで、なかなか入っていけない盤、というのがわたしの感想です。

最後「ドッグ・ブレス」が出てきて、やっとわたしは安心して聴くことができました。「アンクル・ミート」を我慢して聴いておいてよかったです。ザッパであるからと言って、全部の盤を理解する必要はないです。あなたもわたしも理解不能なところにいるザッパ一座。そう思って接しましょう。2023.12.13