ボーナス・トラック2曲、定価2524+税。
EGG〜HATFIELD〜NATIONAL HEALTHを渡り歩いた名鍵盤奏者と珠玉の美声を持つ英女性シンガーのデュオと言えば?これがセンシティヴなサウンドの中にカンタベリーな陰影を残したハイセンス・ポップ!
「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」 第四十九回 葛飾にカンタベリーを見た:なぎら健壱じゃないよスチュワート&ガスキンだよ 文・市川哲史
音楽評論家/ライターの市川哲史氏によるコラム「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」。今回は、スチュワート&ガスキンにおける60年代愛溢れるカバー選曲に注目しながら、デイヴ・スチュワートの人物像・ミュージシャン像を掘り下げます。
「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」 第四十八回 カンタベリーの「わらしべ長者」 文・市川哲史
音楽評論家/ライターの市川哲史氏によるコラム「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」。今回は、前回「産業ロック編」の続きから、スチュワート&ガスキンで一世を風靡したデイヴ・スチュワートに切り込みます!
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ステュアート・ガスキンの最後のまともなアルバム(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
1曲め「ウォーキング・ザ・ドッグ」が、ブルーズのスタンダードであり、エアロスミスもやっていることにどれだけの人が気づくか。それぐらい斬新なアレンジ。というより、これは脱構築です。一時期構造主義という思想が流行りましたね。哲学の分野で。ほかにバーズの「エイト・マイルズ・ハイ」、ジョニ・ミッチェルの「アメリア」も取り上げられています。ステュアート・ガスキンを聴いていると、アメリカの音にも詳しくなれます。
音は派手ながら、テンションは「ザ・ビッグ・アイデア」からだいぶ落ちている印象です。前作はキース・エマースンへの借りを返す意気込みがあった気がしているのです。別にエマースンがデイブ・ステュアートに具体的な貸しをつくったわけではないです。要するにプログレのマイナー畑を歩いていたステュアートが、ヒットチャートで勝負できることを実証した、と。以後ステュアートの業界リベンジ魂みたいなものは影をひそめ、趣味的な曲をつくるようになりました。まあいいのか。この夫妻にこれ以上冒険を求めても仕方ないのだし。
というわけで、夫妻の円熟を聴く、というのが正しい姿勢なのだと思います。ちなみに米国盤と日本盤は収録曲(ヒドゥン・トラック)が異なり、わたしは両方所有しています。2022.11.21