FOUR SAIL

サンフランシスコの音から踏み出す（2 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

エイドリア〜〜ン。…ブルージー、ジャジー、フォーキーという言葉があるのに、ロッキーがないのが、かねがね不思議だと思っているのです。アーサー・リーズ・ラブがフォーキーな世界から、一気にロック的な展開をするレコードで、わたしはこれ以降の彼らを特に買っています。ところで、全米でスタントマン上がりで俳優業を成功させたのは、ジョン・ウェイン、スティーブ・マックィーンに次いでスタローンだと聞いたことあります。シナリオを思い出してください。特に彼の試合前のみじめな生活を。常に貧乏たらしく、恋人はそれなり。恋人の兄は常に人を頼ってばかりいる。それが一発逆転の人生…ではなくて、15ラウンド闘って立っていることが目標なのです。う〜ん、ロックですね。

アーサー・リー以外のメンバーが総とっかえされました。バックが新機軸についていけなかったのか、リーがパワフルなバックを求めたのか。そんなところです。リーの書く屈折したポップを、歪んだギターとどかどかドラムズで表現する画期的な音です。サイケというのには、切迫した音で、時代の不安感を切り取っています。69年のことです。ヘンドリックスが成功し、リーも期するものがあったでしょう。

ロッキー・シリーズの素晴らしいのは、映画前半の貧乏生活をリアルに丁寧に描いているところです。これがあるので、アポロ再戦、その後へと話がつながっていきます。スタローン、脚本の書き手として一流です。2023.09.27