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ラブという特異なグループの終着点（0 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

ラブという名前では6枚目になるアルバムで、ジミ・ヘンドリックスがオープニング曲を弾いていることが有名です。その曲は、出来上がっているわけでなく、アーサー・リーとのデモと言ったほうが正確でしょう。ただヘンドリックスのヘビーな方向性に憑依してしまったような曲がその後も続きます。リズムはエクスペリエンスに似ていますし、ギタリストはずっと歪んだソロを繰り出してきます。

70年になってもサイケをやり続けているこのアルバムが、物まねに終わっていないのは、アーサー・リーの存在感とメロディの才能につきます。西海岸のフォークに影響を受けたアーサー・リーがR&Bに先祖返りした。言い方を変えるとアフリカ系である自分の血に忠実になった作でありますので、異様な迫力があることは確かです。わたしはアーサー・リーのことをうまく言葉にできません。最後まで60年代を清算しようともがいている彼の姿に打たれるばかりです。

ヘンドリックスのユーザー間でも意外なほど知られていません。6. Anytime は、バッド・カンパニーとスライが共演したような英国風ロックンロール。悲壮感もなく明るくルーズな曲たちは、程よい味わいがあります。ラブの作品ではラストでありますが、アーサー・リーのチャレンジはまだ続くのでした。