「音楽歳時記」 第八十四回 1月19日のど自慢の日 文・深民淳
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
レオン・ラッセルのような「ダミ声」のスワンプ・ロックをピックアップしてまいります。
帯【有】 解説【有】
盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
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白人、アフリカ系、ネイティブをスープに(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
レオン・ラッセルは巨大な存在感の人で、彼の声がするだけで、そこに数十人のコーラス隊がひかえているような錯覚がします。華やかな人とはこういう人を言うんでしょう。一方のマーク・ベノは、寂寞感と孤独の人。ラッセルの存在で出来た日陰をベノが埋めているような不思議な凸凹感覚の音楽です。
参加音楽家のクレジットがありません。カール・レイドルが写真としてクレジットしてあるので、彼がベースであることは間違いないようです。レオン・ラッセルが弾くピアノのデモを、リタ・クーリッジが聴いて、いやこっちがいい、さっきのがいい、と会話したあと本編が始める「ストレイト・ブラザー」が、かっこいいです。わたしは「スワンプ」と書いて、何かレビューしたような気になるのは嫌なんですが、ここらへんの人の密度は、この時期と場所特有のものです。英国でカンタベリーが果たしたような人の結びつきが、米国南部でありました。白人、アフリカ系、ネイティブをスープにしたような音です。
落ち着くし、開放されます。日陰のベノの魅力はギターとコーラスでしっかりとあります。ラッセルの「シェルター・ピープル」、ベノの「雑魚」が好きな人はぜひ。2024.05.11