KARL JENKINS/ARMED MAN : A MASS FOR PEACE
NUCLEUS〜後期SOFT MACHINEで中核を担った才人ミュージシャン、01年ソロ名義作
237円(税込261円)
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優しく密度の濃い小世界(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ジョン・ペリーには、「サンセット・ウェイディング」という著名なリーダー作があります。それが76年のことで、キャラヴァンの「夜ごと太る女」参加、脱退後ということになります。このセカンド・リーダー作は、やっぱり「デモ」なのではないか、というのが、わたしの考えです。ファーストの見事な録音に比べて音質が悪いことがひとつの理由です。マイケル・ジャイルズのドラムズのスネアの迫力はすごいもの。ところがその録音がひずんでいます。適正なマイクをセッティングする時間がなかったためなのではないでしょうか。
もうひとつの理由が、同様のジョイント作であるジャイルズのソロ「プログレス」の存在です。このレコードも録音後、かなり年数がたってからの発表になっています。発表予定のないデモをつくった、とジャイルズからは語られています。参加メンバーも録音時期も、ほとんど「シー・バード」と一緒です。
ジョフリー・リチャードスン、エリオ・ダーナ、ルパート・ハインの演奏は、ノンジャンルなもので、クラシックの四重奏団のようでもあり、ジャズのミニ・コンボのようでもあり。それをペリーの強靭なベースが支えます。詩を書いているのは、マーティン・ホールという人です。グリーンスレイドやピーター・ゲイブリエルに歌詞を提供しています。ファーストに比べると小品に思えてしまうのが難。ですが、独特の抒情性、柔らかさがあって、よいレコードですよ。2023.11.02