ELLIS/RIDING ON THE CREST OF A SLUMP and WHY NOT ?
LOVE AFFAIRを率いたSteve Ellisによるグループ、72年作&73年作
2,190円(税込2,409円)
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フリーのユーザーしか聴かない、フリー好きな人は楽しめない(0 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ベースというポジションは、裏方ゆえ、その演奏だけでその人を判別できてしまうプレイヤーが多くありません。例外が、ジャック・ブルースとアンディ・フレーザーです。フリーでの彼のベースは、文字通り「自由」であり、メロディを弾いてもいいし、ソロを弾いていもいい。前後左右に自由に駆け回るスタイルは空前絶後です。(だからポール・コゾフが低音をカバーする必要があったという話もあるぐらい。)フリーがホワイト・ブルーズを基本としているのに、フレーザーだけはR&Bの出自を隠しませんでした。
このファースト・リーダー作は、なんとギターがいない挑戦的な編成です。ギターの代わりを務めるのが歪んだベースであります。不思議なのが、ボーカルのスタイル(フレーザーがやっています。)が、ポール・ロジャーズであり、ギター(に聴かせるベース)が、コゾフに似ているところ。フリーの人間関係に限界を感じていたはずなのに、です。結局は、フリーという強固な土台があって、フレーザーの自由さを保証していたわけです。
ベースを聴こうとする人には、ふんだんに個性ある演奏が楽しめます。ただし全体のサウンドを聴こうとする人には退屈ではないでしょうか。フリーのスタイルの縮小再生産なのですから。この編成は、結局一枚きりであり、次からは専任のギタリストを入れます。トラフィック時代のウインウッドに通じるフレーザーの過重な負担を感じさせます。