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生きた化石になんかならねえぜ(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ウォーレン・ヘインズは、わたしと同い年のギタリストでとてもシンパシーを感じています。彼はクラシック・ロックと現在地のUSシーンをつなぐ通訳のようであり、その意味で稀有な存在です。たぶんジュニアハイの時期からロック漬けの人生を送っていたことでしょう。ガバメント・ミュールに比べれば肩の力が抜けている…とは言っても、この人のこと。持ち前のエネルギー総量がケタ違いなので、すさまじい緊張感にあふれています。66分の中で、どこで力を抜けばいいかと聞いていると、結局最後まで気を抜けなかったです。ドラムズ、ベース、キーボードのサポートをしているメンバーも腕達者です。また、ギターとスライド・ギターは違う楽器なのだ、という考えがよく出ています。
日常にひそむ狂気の物語、というタイトルどおりに、少し劇画調の、誇張した主人公の曲が多いです。「アイム・ジ・ワン」という曲では、お前の愛を勝ち得るために最後まで戦ってやる、という具合に。その代わり、俺を見捨てたら何回も何回も会いにいってやる、と。無償の愛なのかストーカーなのか、これではわかりません。人との距離の取り方がわからないところ。これ、わたしら世代の特徴なんですよ。去る者を追ってしまうんです。むろん、ヘインズはわかってこういう曲をつくっているわけです。
世の中に、ガバメント・ミュールを読めなくて、ガブト・ミュールと読む人いらっしゃるんですよ。それでは生きている化石です。2024.06.17