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表現者のサガを感じさせるデビュー(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
フリートウッド・マックが「ルーモアズ」で大ブレイクしているとき、担当楽器がないのでステージでひらひら踊っていたのが彼女。それもなにかに憑かれたようなちょっと危ない踊りでした。わたしはスティーブ・ニックスがマックに加入する前の「バッキングハム・ニックス」も大変よく聴いていました。しかし「リアノン」でも「ドリームズ」でも彼女の本質はわからなかったようです。このソロ・デビューで初めてニックスの大きさ、全体像がつかめた気がしました。
正統派の女性ボーカリストと言うにはニックスは異質です。ほとんど地声で、ドスの効いた声とでも言うんでしょうか。彼女には当時「小悪魔」という表現がよく使われていました。ブルーズとは違うどろどろした要素も持ち合わせています。表現者としての欲求は、マックでは一番だったんじゃないでしょうか。この作を聴くと、欲求なんて生易しいものではなく、デーモンが憑いているようです。
これだけおどろおどろしい性格を持っているのに、彼女には女性のファンが多いです。全然飾ったり演技したりしていないせいなんでしょう。ベスト曲は、やはりトム・ペティとのデュオである「ストップ・ドラギン・マイ・ハート・アラウンド」です。このくたびれ具合、不良具合がよいです。