捻りに捻ったメロディ・センスはニッチ・ポップ・ファン必聴、英国出身ハード・ロック・バンドの73年発表1st
1,690円(税込1,859円)
「音楽歳時記」 第六十五回 6月 引き続き、ハード・ロックを聴こう。 文・深民淳
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
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アサイラム・レーベルが生んだ正統的ハードブギ(5 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
70年代前半に出来のよいアルバム4枚を残しながら、ほぼ無名に終わったハード・ロック・バンド。セカンド「Bite Down Hard」サード「Jumpin The Gun」の圧倒的音圧に任せた音づくりのあと、「洗練」という言葉にふさわしいラスト作であります。(グループは2005年に短い再結成。)縦横に奔放なギターだったマット・アンデスが脱退、加入したジョン・ステヘリーはストレートなギターを持ち味にしています。基本はブギ・ベースのロックンロールながら、アレンジに技があって飽きさせません。
西海岸のフォークを象徴するアサイラム・レーベルからこれだけハードなグループが出たことは今考えると不思議です。ハードロックと言えば、悪魔と神の闘いとか「暴虐の」「恐怖の」とか枕言葉のついていた時代。また一方のブルース・ハードと言えば、「泣きの」「酔いどれ」「哀愁の」などという冠がついていた時代。ジョ・ジョ・ガンは実に正統派なハードロック路線を突っ走ったのでした。あまりにも音楽主義一本で勝負したのが敗因だったかもしれません。しかし、このアルバムを聴いてみてください。彼らの聴衆主体の姿勢がわかると思いますし、けしてB級のバンドなどではなかったことが明白だと思います。