ex.FAIRPORT CONVENTION、ツェッペリン4th収録「限りなき戦い」への参加で広く知られる女性シンガー、72年作、ソングライターとしての才能が溢れる名曲揃いの傑作
1,090円(税込1,199円)
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ドナルド・フェイゲンとの奇妙な符合(1 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
10CCの面々は、スティーリー・ダンの音に触発されバンドを結成したらしいのですが、ドナルド・フェイゲンが理想としていたスタイルは、このグレアム・グールドマンみたいなやり方だったのではないでしょうか。何しろヤードバーズ、ホリーズ、ハーマンズ・ハーミッツの専属作曲家だったわけです。普通に考えたら、これら曲の権利だけで食えていけたはずです。
ところがグールドマンは、ミュージシャンとして自分の足で立つことを選びました。ここで聴けるのは珠玉のメロディであると同時に、フロントマンとしては線の細いグールドマンの実像です。「バス・ストップ」あたりはアレンジをかなり変えてありますけれど、基本はオーソドックスなアレンジで率直に申し上げて提供先のグループの音を超えるものではありません。スチュワート、クレーム、ゴドレーと出会えて本当に良かったねぇ、と申し上げたくなります。
一方で10CCの「ドナ」や「ジョニー・ドント・ドゥ・イット」を聴くと、グールドマンはおちゃらけたポップを本当にやりたかった。いっしょにやる相手を探していたんだ、と確信めいた思いがしてきます。おそらくはホリーズもヤードバーズも、モンティ・パイソンみたいなノリでやってくれることを希望していたんでしょう。10CCのユーザーでしたら必携です。