盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
※ ケースツメ跡・若干折れあり
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本当なら、ただの通過点のはずだったのに(3 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
マービン・ゲイやスティービー・ワンダーに比べるとハサウェイの知名度は低いかも知れません。ゲイ、ワンダーのR&Bに果たした功績は幅広く、アフリカ系の復権、自然界との交遊から性愛の可能性、人類愛にいたるまで、曲のテーマを広げていきました。ですが、R&Bの地平を広げたのはハサウェイが先駆者であり、彼が存命していたら二人をしのぐアーティストになっていた気もするんです。このレコードは、ゴスペルの神への信仰、ブルーズの卑賎な笑い飛ばし、ジャズの官能を一挙に統合したような趣があります。まさにキング・オブ・ソウルです。ハサウェイは、このレコード制作時から心療治療を必要としていたらしいです。あまりにも大きすぎるテーマを彼が担っていたからではないか、と考えてしまいます。
ブロードウェイのような輝くオープニングから始まります。この弦楽を作曲したのもハサウェイです。2曲目の「サムデイ・ウィル・オール・ビー・フリー」では、汚いところ含めてわたしたちを包む圧倒的安心感を感じます。そしてハサウェイの電化ピアノがまた、おしゃれなんです。
一方で自分はまだ、このレコードの大きさを理解しきっていないんではないか、とも思うんです。ワンダーの「キー・オブ・ライフ」を前にした無力感に似ています。なので☆ひとつ減らしました。ハサウェイのせいでは全くありません。2023.10.05