50年代より人気ソングライターとして名を馳せた米SSW、ブルース・ジョンストンとの共同プロデュース、テリー・メルチャーも制作に関わった75年の傑作サード!
1,190円(税込1,309円)
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ギタリスト・スティルス(4 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
わたしは、CSNYのメンバーでは最もスティーブン・スティルスに親近感を抱いています。彼のベストな演奏は、ソロのファースト、セカンド、そしてマナサスの録音だと思います。CSNYの音の土台はスティルスのものでした。しかし、CSNYとはコーラス、アクースティックがメインのプロジェクトだったので、スティルスはブルーズ好き、ワールド・ミュージック好きの自分を封印せざるをえませんでした。比べてマナサスの良さは演奏の開放感です。
スティルスは、このアルバムでスペイン語で歌ったり、アフリカのビートを取り入れたりしています。ワールド・ミュージックがマーケットに乗ったのは、70年代後半にピーター・ゲイブリエルが「WOMAD」を主宰し、ポール・サイモンが「グレイス・ランド」を発表してからだと記憶していますので、どれだけスティルスの取り組みが早かったか。あまりに早すぎて、発表時にマナサスのことを特殊なプロジェクトだと思い込んでいたほどです。
ところがスティルスはマナサスの取り組みを途中で放り投げてしまいます。マナサス以後の彼は、悪くはありませんが、西海岸の売れ線ラインから外れることはしなくなりました。このマナサス、メンバーそれぞれの力量が高いので演奏にケチをつける部分はありません。その演奏力をねじ伏せるようにギターを弾きまくるのがこの時期のスティルスの特徴です。もともとギターの人なんですよ。CSNYにしろ、マナサスにしろ、もう数年活動を続けていたら、もっとスティルスの存在は一般的になったんでしょうが。もう過去の人、と片付けたら、あまりに可哀想です。