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CSNYのスティルズを予想していると裏切られます、いい意味で(5 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
これら楽曲がお蔵入りにならざるを得ないとは、どれほどマナサスのセッションが密度濃いものだったのか。クリス・ヒルマンの「ウィッチング・アワー」の原曲であるとか、スティルズのソロ作で日の目を見た最初のデモであるとか注釈がついています。
マナサスは7人という大所帯バンド。ロックンロール、ラテン、ブルーグラス、ブルーズという4本柱がマナサスであり、スティブン・スティルズとほかのメンバーとのケミストリーがこのセッションの面白さ。「ライズ」は、ジョー・ウォルシュとスティルズとのダブル・リードが聴けるデラックスなロックンロール。「タン・ソラ・イ・トリステ」は先取りされたレゲエ。「フィット・トゥ・ビー・タイド」はダークなブルーズという具合です。ライナーによるとクリス・ヒルマンは、フライング・ブリトー・ブラザーズ後の燃えつき状態にあったようです。それが見事スティルズに火をつけられています。
CSNYのスティルズとの違いが「ウィッチング・アワー」に表れています。疲れた真夜中を歌う曲なのですが、こんな曲を書いてもクロスビーやナッシュに受け入れられなかったでしょう。逆にクリス・ヒルマンやダラス・テイラーに受け入れられたスティルズがどれほど幸せだったか。そんなことを感じさせる名演たちです。2022.05.14