今まで注目されずに来てしまったのが不思議な、急浮上の注目株。ドイツのシンフォニックロックバンドの09年4th。これまではMarillionやPendragonからのネオプログレの流れを感じさせる音楽性を持ったバンドでしたが、本作では、単なるネオプログレ的な音作りからはみ出し、Genesisの色濃いしゃがれ声ボーカルにCamelのファンタジックさ、感情を揺さぶられるギターワークにレトロで華やかなキーボードサウンド、そしてテクニカルなリズム隊が冴え渡ります。また、ネオプログレからの影響は楽曲展開のダイナミズムに上手く落とし込まれており、20分超えの大曲2曲を含めた約80分の大ボリュームでありながら全く飽きさせません。全体的にはあまりドイツらしさを感じさせない音像となっていますが、ギターのテクニカルでエモーショナルな響きが登場すれば、同郷Anyone's Daughterの諸作における「黄昏時の泣き」を思い出さずにはいられません。Camel/Genesis系のファンタジックなシンフォニックロックからアメリカンプログレハード的なダイナミックな作風まで兼ね備えたバンドの出世作、全プログレファンにオススメです。
ロイネ・ストルト(フラワーキングス)、ニール・モーズ(スポックス・ビアード)、マイク・ポートノイ(ドリーム・シアター)、ピート・トレワヴァス(マリリオン)によるスーパーグループ、00年作
830円(税込913円)
netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第30回 MARTIGAN / Vision (Germany / 2009)
「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことをコンセプトに、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を幅広く紹介するコラム。担当は、MUSEAからデビューした日本のアーティストnetherland dwarf!
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