「音楽歳時記」 第六十四回 5月 そうだ、ハード・ロックを聴こう。 文・深民淳
音楽ライター/ディレクター深民淳によるコラム「音楽歳時記」。季節の移り変わりに合わせて作品をセレクト。毎月更新です。
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歯切れのよいハードロックなら彼ら(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ハードロック・ユーザーの経験則で、暗色にバンドロゴだけのデザインのレコードは、おおむね「当たり」というものがあります。バッド・カンパニーとかディテクティブとかパリスとか。テキサスではニットツィンガーというバンドもありました。モキシーのファーストがまさにそれで、デザインだけで買いに行った覚えがあります。カナダのハードロックは、BTOにしても、エイプリル・ワインにしても英国寄りの音を出していて、モキシーも例にもれません。…と言いますか、ツェッペリンの偉大なフォロワーであります。しかもデビューの遅かった…75年です。
このベストのデザインは、3作めの「ライディン・ハイ」から鷲の絵がとられています。お世辞にも良いセンスとは言えません。やはり選曲は、ファーストからが中心です。ストレートにツェッペリンを追いかける作風から、「ライディン・ハイ」のような、ヒープのギターやキーボードを参考にした彩り豊かな芸風に変わっていきました。ボーカルのバズ・シャーマンにカリスマ的魅力がありました。彼が83年にバイク事故で亡くなったことはバンドの悲劇でした。
しかし、ギターのアール・ジョンスンが中心となって、バンドはその後も生き延びていきます。もはやカナダの生き証人と言ってもいいのでは…。2022.02.07