シアトル出身のグループ、69年の唯一作。ジミ・ヘンからの影響が色濃いサイケデリック&ブルージーなファズ・ギターを中心に、男臭く哀愁溢れる「歌」を聴かせるメロウなハード・ロック。演奏もうまいし、メロディ・センスも抜群。BEATLES、STONES、BYRDSのカバーも秀逸で、特にBEATLES「Hey Jude」が良いです。ポップな曲をただハードに演奏するベタなカバーかなと思っていたら、見事に裏切ってくれました。原曲での歌が終わった後の「ナ・ナ・ナ、ナナナーナー」の部分をベースにしたインストで、メロウ&ブルージーなギターが格好良すぎる、スケールの大きなカバーに仕上がっています。センス溢れる好グループ。
JUAN DE LA CRUZ(JUAN DE LA CRUZ BAND)/HIMIG NATIN
フィリピンを代表するブルース・ロック/サイケ・ハード・グループ、73年2nd
1,790円(税込1,969円)
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マイナーなわりに、何度も再発されている(4 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
シアトルという都市のイメージはございますか。ジミ・ヘンドリックス出生地という以外で…。わたしは「ウォーゲーム」という映画の舞台ということ以外よく知りません。西海岸といいつつも、ほぼカナダの国境近くですし。LAやアトランタでオリンピックありましたけれど、そんなビッグ・イベントを聞いたこともないです。でも、マイクロソフトやボーイングの本社があるんですよ。
冒頭曲は「パープル・ヘイズ」の出だし丸ぱくりです。というより、ヘンドリックスへのオマージュなんでしょうね。「ヘイ・ジュード」を聴くと笑ってしまいます。ボーカル部分をすっとばして「ダーダーダ」のパートをえんえんインストで演奏しているからです。ダブル・リード・ギター、叩きつけるようなボーカルが、なかなかよろしい。やはりサイケデリックやブルーズを背景にした、ローカル・バンドという位置づけなのでしょう。大きな音で聴いていると、大らかな米国ハードの香りが部屋に充満してきます。明らかにドラムズの人、叩き過ぎです。ジンジャー・ベイカー症候群です。
ライナー執筆はいつものクリス・ウェルチ氏。ウェルチ氏は、西海岸が嫌いらしく、英国のバンドがブルーズと格闘しヘビーな音楽をやっていたとき、米国は何をしていたのだと糾弾しています。ウェルチ氏とは酒がいっしょに飲めそうだと思いました。2023.10.04