70年代末期に活動したカンタゥトーレによるバンド形式の12年作。オープニングより、まずカンタゥトーレの作品だとは微塵も思えない、NWOBHMか北欧メタルかと思うようなスピーディーな轟音リフが響き渡り度肝を抜かれます。しかし、やがて情感をたっぷりと込めて歌い始めるヴォーカルは、なるほどカンタゥトーレのあの薫り高き芳醇な歌声。本来相容れないと思われる二つの要素が驚くほどにマッチしており、しまいにはガッツポーズをしてしまうほどにこの世界観へハマり込んでしまいます。2曲目以降はヴァイオリンやシンセなどがフィーチャーされ、よりプログレッシヴな演奏へとシフト、イタリアらしい芸術性も発揮された音世界を繰り広げます。そして終盤は躍動感いっぱいのイタリアン・シンフォで一気に駆け抜けます。様々なアプローチで聴かせる演奏にカンタゥトーレ・ヴォーカルをフィーチャーしたという印象の作品。カンタゥトーレ・ヴォーカルの可能性を拡張させるような作風が素晴らしい作品に仕上がっています。
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