フランス産新鋭シンフォ・バンド、12年作。まどろみへいざなうかのような幽玄なトーンが印象的なギター、耽美なフランス語ヴォーカル、そして妖艶に舞うフルートが幻想世界を描き出すオープニング。ここだけでこのバンド独自の作品世界にぐいぐいと引き込まれます。静謐で幻想的なアンサンブルから突如ヘヴィーに走り出す曲展開を得意としているようで、時にはメタル並みの迫力で聴き手に押し寄せてくる演奏が圧巻。しかしザクザクとヘヴィーにリフレインを刻むギターも、各楽曲終盤のソロパートなどでは歪んだ音色のギルモアとでも言えそうなエモーショナルな表情をたっぷりと見せてくれています。終始アンサンブルの中で妖しげに浮き沈みするフルートにも油断なりません。70年代プログレのヴィンテージなエッセンスを随所で効かせつつも、それをフランスらしい陶酔的な魅力、そして目の覚めるようなヘヴィーなサウンドで包んだハイクオリティな一枚。
MOONRISE/LIGHTS OF A DISTANT BAY
ポーランド、ファンタスティックなパートとヘヴィなパートとの振幅激しいダイナミックなシンフォ作、07年作
2,490円(税込2,739円)
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