イタリア屈指のプログレ・バンドARTI E MESTIERIの鍵盤奏者が、元SOFT MACHINEのキーボーディストMike Ratledgeに捧げた10年作。冒頭より初期SOFT MACHINEなどを思わせる不穏なオルガンの音色にこれまた不気味なメロトロンが重なるかなりアヴァンギャルドな演奏を聴かせます。歳月を経てもそのプログレッシヴな先鋭性に衰えはありません。とはいえジャズ・ロックというよりはドイツのシンセサイザー・ミュージックに近い、各種鍵盤の音の繊細な重なり合いの中に生み出される幻想性を楽しむための作風という印象も受けます。中でもファズの効いたオルガンとどぎつい音色のシンセがぐにゃぐにゃと混ざり合うノイジーな音空間の中を、触れれば壊れそうなほどに繊細なタッチのピアノが進んでいく展開などは、鳥肌モノ。前衛的に感じられる場面もあるものの、それ以上に、ふいに現れる美しい旋律に思わず感動してしまうような一枚です。
ROBERT REED/RINGMASTER PART ONE
MAGENTAをはじめ数々のバンド/ユニットを率いるマルチ・プレイヤー、過去作同様Mike Oldfieldへの憧憬に溢れたサウンドを繰り広げる21年作、Simon Phillips/Tom Newman参加!
3,500円(税込3,850円)
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