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かなり密度の濃いソロ(80年代のアレンジが惜しまれる)(2 拍手)
たすけさん レビューをすべて見る
ルー・グラムを、フォリナーに抜擢されたポッと出のシンガーと見ていたかたはいらっしゃいませんか。かつてのわたしがそうでして、今では恥ずかしいかぎりです。あまり流通していない「ブラック・シープ」を聴いて、わたしの考えはがらりと変わりました。UKの正統的なハードロックを継承する、ブルーズ・シンガーというイメージに。フォリナーは、意図的にブルーズを外した音づくりをするグループです。べたべたしないところは良いのですが、ルー・グラムにとっては、だんだん気持ちがかさかさになっていったのではないかと推測します。
フォリナーであまりやれなかった硬派の音。何が良いかというと、ニルス・ロフグレンのギターです。弾き過ぎず、カッティングとサステインで聴かせるギターです。曲はグラムとブルース・ターゴン(ベース)が書いています。おそらくは作詞がグラムの担当だったと思うので、アレンジなどはターゴンが主導したのではないかと思います。また、ドラムズはグラムの兄弟、ほかにギターでクレジットされているリチャード・グラマティコという人も、ルー・グラムの兄弟でしょう。いわば彼のファミリーとロフグレンで作り出した音なのです。
ルー・グラムの伸び伸びした歌声を聴いていると、安心できたプロジェクトなんだろうな、と。そんなことを感じさせます。2024.05.10