イタリアのヴォーカリスト/キーボーディスト、Fabio CeliがINFERMIERIというグループと共に発表した唯一作。73年発表ですが録音は69年。まず、細かく刻む前のめりなリズム・セクション、ひたすら哀愁のフレーズを紡ぐハード・ロッキンなギター、クラシカルなタッチのオルガン/ピアノ、ヴァイオレンスにうねるシンセらがパワフルに畳みかける、疾走感抜群のアンサンブルに注目。ELPにギタリストが入ってハード・ロック寄りになったようなスリリングなアンサンブルはなかなかのカッコよさを誇ります。そして最大の特徴と言うべきが、Fabio Celiによる存在感の塊のようなヴォーカル。仰々しいシアトリカルな歌唱に始まり、狂気をにじませるエキセントリックな歌唱、そしてイタリアらしい哀愁をたっぷり含む朗々とした歌唱まで、イタリア版ARTHUR BROWNとも言えそうな、振れ幅あるパフォーマンスが圧倒的です。決して上手いわけではないのですが、ケレン味と勢いで押し切るようなスタイルがハード・ロック調の演奏に上手くハマっていて少しも気にさせません。知る人ぞ知る一枚ではありますが、イタリアン・ロックの魅力である「熱さ」という点では、屈指。MUSEO ROSENBACHの73年作のようなヴォーカルを主軸とする作品や、BIGLIETTO PER L'INFERNOやSEMIRAMISなどハード・ロック色が強いイタリアン・ロックが好きなら、ぜひ押さえておいていただきたい逸品です!
STEFANO TESTA/UNA VITA UNA BALENA BIANCA E ALTRE COSE
イタリアの隠れた名カンタウトーレによる叙情派シンフォ作、77年作
1,110円(税込1,221円)
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