72年作。歪んだトーンによりクラシカルな旋律をアグレッシヴに弾き倒すハモンド・オルガンと元祖HMなハイ・トーン・パワー・ヴォーカルが印象的なジャーマン・クラシカル・ハード・ロック。録音がちょっと悪いですが、それが逆にバンドのパワフルな魅力を増幅しています。
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オルガン&ヘヴィ・ロック好きにおすすめ!(2 拍手)
Saul Badmanさん レビューをすべて見る
処刑場として知られていたイギリスの村、タイバーンが由来のジャーマン・ロックバンド、タイバーン・トール。バンド名だけではなく音楽性もナイスのようなオルガンを用いたクラシカルなロックということで英国性がにじみ出ています。「ロック」といっても歪みまくりのギターや縦横無尽に鳴り響くパワフルなオルガンなどの比重が大きい「ヘヴィ・ロック」に分類されると思うので、そういったファンにかなり受ける音かと思います。
プログレバンド御用達、バッハの「トッカータとフーガ」で始まる一曲目、「War Game」はこのバンドの全てを物語るような曲であり、とても気に入ってます。ヘヴィさはもちろん哀愁のあるメロディもあって素晴らしいです。「In The Heart Of the Cities」や「Strange Days Hiding」もギターとオルガン好きのツボをつくような曲で良いです(後者のドラムソロのパートは冗長な気がしますが・・・)。
このようにオルガン入りのヘヴィ・ロック好きには受けが良い内容になっていると思うのですが、もしかするとヴォーカルにひっかかる人が出てくるかもしれません・・・・・・確かにハイトーンな歌声で曲調ととてもマッチしているのですが、そのハイトーンさに少し無理してる感が出てるような気がします・・・海外のレビューサイトには「曲は良いけどヴォーカルが駄目すぎる」みたいなことまで書かれていましたが、決してそこまでひどいわけではないと思います。ただ、多少クセがあるハイトーン・ヴォーカルかなぁとは思います(笑)しかし、そんなヘタウマ?なヴォーカルを楽しむのもB級ロックの醍醐味であったりしますよね。
タイバーン・トールは70年代に同じドイツのフランピーや英国のルネッサンスなどと一緒にツアーを周ったりと勢力的に活動していましたが成功を収めることのないまま75年に解散してしまいます。さらに、当初、200枚限定で販売されたこのアルバムの半分は音楽ショップの火事で焼失し、マスターも紛失してしまいました。なんとも不運なバンドですが是非聴いて欲しいバンドの内の一つです。