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達者のあまりに正気の沙汰とは思えぬ程だ(1 拍手)
いつも腹ぺこさん レビューをすべて見る
グレンダ・コリンズは、歌唱法に声質、また容姿も抜きん出たお嬢さんであった。演技をしていて歌っていて、デッカとレコード契約して、色々あってジョー・ミークに委ねられる事となった。やっぱりミークって上手いのよね。デッカ音源もとても良いんだけども、天賦の才も今までに積み重ねてきた経験だってさらに磨きをかけてやらねば、光る物も輝かずだもの。結果、グレンダは一皮も二皮も剥けた。リスナーが呆気にとられるくらいに、化けた。正直なところリスナー達が聴いていて「引いてしまう」ぐらいと言っても大袈裟ではない。デッカはグレンダ本人の「成績目標数値達成に至らず」で仕方なしに手放したのだとしても、その後のレコードを聴いて面目なかったろうに。担当のマイク・スミス氏の心中をお察ししますよ、本当に。(逸話に事欠かない会社である。)
でもしかし、もしもその当時、そのお国のラジオから流れているグレンダを聴きつけたとしても、時を経て聴く機会を得た今現在と同じく「大好き!」と思えるかどうかは自信がない。あくまでも個人的に思うだけなのだが、グレンダの抜群の魅力がかえって仇となり、例えば歌手になりたいと願う女の子達からは「憧れられる」とは正反対に「嫉妬され悔しがられ、ムカつかれて嫌われる(ていた)」のではなかろうか?と。購買意欲をしょげさせて「レコード買うよ!」ならなかったのでは、と。なんて、好き勝手に想像して、好き勝手に気の毒に思っている今日この頃。
元々はジョー・ミークが良くてグレンダも手に取ったのだけれども、今となってはミークなんぞよりグレンダに恋してしまった1枚で、ミークはんの手腕云々よりも、グレンダ自身がミークの手綱を操っている感の方が強くあり、実にいいタマをした女だと思う。娘のマネージャーを務めていたグレンダの実父がミークについて回想しているのだが、うん、本当にそうかも知れないよね、そんな気がするよ。CDの解説も、是非とも必読されたく願う。
最近、また新たに録音をしたそうで、ご達者で何より。