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I POOH
日本のプログレファンにとって一番有名なPoohの作品はオーケストラと共演した往年の傑作『パルシファル』や『ロマン組曲』なのかもしれない。
しかし、80年代以降の卓越したバンドの演奏力とロックバンドらしい躍動感を活かす素晴らしい編曲のおかげで、本作"Opera seconda"はそれらに匹敵する、いやそれらを越えるといってもいいほどの傑作に仕上がったと思う。
オーケストラの編曲を担当した編曲家はおそらくハードロックやプログレが本当に大好きな人であり、この編曲はロックバンドとオーケストラの共演のひとつの理想形といえるだろう。
本作の編曲で大きくイメージの変わった曲を以下にあげてみよう。
代表曲'Canterò per te'はYes風のリフがカッコいいハードロックになり、オリジナルでは軽やかなラテンポップス風だった'Maria Marea'は、ゲストヴォーカリストの声質もあって、重厚なイタリアン・ロックになった。
元々はやや落ち着いたAOR調だった'Ci penserò domani'は疾走感のある編曲でまったく別の曲に生まれ変わった。 渋すぎる超低音のゲストヴォーカルと天翔けるドディのリードギターが鮮烈なコントラストをなしている。
最終曲'Il ragazzo del cielo'の静寂の夜明けから雷鳴轟く嵐のなかへ突き進んでいくようなドラマティックな展開はまさにプログレとしかいいようがなく、オリジナルの出来をはるかに超えている。
ドディのギターは絶好調。ロビーの歌唱は年相応に渋くなったが、それでも驚異的。
さらに曲と曲のあいだをオーケストラの演奏で切れ目なくつなぐドラマティックな演出が施されており、プログレファンにはこれもうれしい。