TANGERINE DREAM、ASH RA TEMPELというジャーマン・プログレの重要バンドに参加後、シンセサイザー・ミュージックの第一人者として不動の地位を築いた彼の記念すべき72年1stアルバム。20分を超える大作2曲と5分強の小曲の全3曲構成となっています。その内容は、どこまでも重く暗く荒涼と広がる音世界が衝撃的な異端のキーボード・ミュージック。本作ではまだシンセサイザーはさほど使われておらず、演奏のメインとなっているのはオルガンですが、ゾクリとするように冷たい音のオルガンを幾重にも折り重ね、聴く者に畏怖すら憶えさせる荘厳なサウンドを作り上げる手腕は、後の活躍を予期させるのに十分なものです。本作を制作するまでまともにキーボード類をプレイしたことがなかったとも云われ、ただただ圧倒的な音楽的才能を感じさせます。暗闇の中から浮かび上がるように聴き手のイマジネーションを刺激する音像はまるでSF映画またはホラー映画のサウンドトラックのようにも聴けるし、また早すぎたアンビエント音楽とも捉えられる、聴き手の数だけ多様な印象を与える深みある音作りは特筆。後進への影響は計り知れない、ジャーマン・プログレ屈指の重要作品です。