カケレコ・レビュー

米南部アラバマ出身の新鋭SSW、08年デビュー作、ルーツ・ミュージックのコクと00年代SSW的な音響感覚が絶妙にブレンドした芳醇かつ浮遊感ある名デビュー作

アメリカ南部はアラバマ出身の新鋭SSW。08年のデビュー作。とにかくディランをメランコリックにしたような歌声が印象的で、米南部の場末のバーでこの歌声が聞こえてきたら誰だって心奪われてしまうでしょう。米ルーツ・ミュージックのコクがにじむアコギの爪弾き、感情の機微を描くハープ、じんわり染みてくるリリカルなメロディも絶品。歪んだギターは、ニール・ヤングゆずりで、ザクっと荒々しくもたゆたうようなリリシズムがあります。デビュー作にして、60〜70年代サザンSSWの遺伝子を受け継いだ円熟の味わい。ルーツ色ある簡素な弾き語りをしっとりと包み込むエコーや、音空間をメランコリックに広げる持続音も効果的で、ウィルコやライアン・アダムスとも通じる音響センスを感じます。芳醇かつ浮遊感あるサウンドは絶品の一言。何度でも噛み締めたい、味わい深すぎる名作です。ディランやニール・ヤングや南部SSWのファンはもちろん、ウィルコなどオルタナ・カントリーのファンも胸にくること間違いなしでしょう。オススメです。

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