カケレコ・レビュー

フランス産アヴァン・プログレ新鋭12年作、ヘヴィーにもメロウにも変幻自在のアンサンブルを聴かせる力作

フランス産の新鋭アヴァン・プログレ・バンドによる11年作2nd。重々しいリズムを刻むドラムス、叩きつけるようなベース音、ミステリアスに響くギター・サウンド、そして不協和音のごとく鳴り響く管弦楽器らによって展開されるヘヴィーなアヴァンギャルド・プログレ。ヴォーカルもダークな荘厳さを孕んだ歌唱を聴かせます。そうかと思うと次の瞬間にはサックスがムーディーで滑らかな演奏へと姿を変え、ギターもそれに応じてメロウな音色へと変化するなど各楽器ともヘヴィーさとメロウさという二つの表情を巧みに使い分けるアンサンブルを聴かせます。しかし、それらに一貫して通底するのはフランス的な耽美な幻想性。それがこのバンドならではの味わいとなっています。ミステリアスな空気を漂わせる中にいつ暴走するかわからない危うさを秘めたアンサンブルを聴かせる一枚です。

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